5.今回のテーマ■ETRI

 韓国政府の技術系シンクタンクであるETRI(韓国電子通信研究院)は、2008年からすべての研究員が中小企業の技術イノベーションのための活動に参加し、研究開発のための技術を支援したり問題を解決するといった「お助け制度」を運営することにした。

 中小企業の育成・支援のために政府系シンクタンクの人材を積極的に活用するこの制度は、市場とフレンドリーな政府になるという李明博政権の政府組織改編によって実施されることになった。「政府の技術系シンクタンクは技術を開発することだけが目的なので市場で売れない技術ばかり開発している」といった批判があったことも制度発足の背景にある。

 この制度により、ETRIのすべての研究員は勤務時間の10%以上を中小企業支援の研究に使わなくてはならなくなった。中小企業の役に立つシンクタンクになることを目指し、イノベーション型中小企業向けの研究開発支援策としてプロセス段階別改善方向と短期、中期、長期に分けた実行項目を作成している。

 具体的な支援としては、(1)大企業と中小企業との共同研究開発事業によって生産する部品の競争力を高める、(2)品質保証制度を実施して開発された技術の完成度を向上させることで事業化成功率を高める、(3)中小企業への技術移転を円滑にするため、企業ごとに担当者を決めて製品化までのプロセスを支援することで要求事項を適時に把握する、(4)技術移転後に人材不足で事業化できない技術イノベーション型中小企業のために、アフターサービスとして支援を拡大する、(5)技術移転によって製品化を実現するだけでなく、中小企業の満足度を高めた研究員には破格的なインセンティブを支給する、(6)中小企業向けETRI技術お助けセンターの運営、(7)開発技術の事業化と資金調達やインキュベーションセンター運営などのためのETRI技術持ち株会社設立など。

 ETRIは中小企業と密接な関係を築くことで市場需要とのギャップをなくし、市場が要求する技術の需要変化を研究計画に随時反映、製品化の成功率を高めるのが狙いである。中小企業の悩みである研究開発要員の不足についても、ETRI研究員の派遣や出向で解決できるのではないかと期待されている。(趙 章恩●取材/文)