7.今回のテーマ■新政権のIT戦略

 2008年7月10日、李明博(イ・ミョンバク)政府のIT戦略が発表された。IT産業発展のための政策というより、既存産業とITを融合させ、さらなる経済発展を成し遂げることを最大の目標としている。

 「NEW-IT戦略」と名づけられた08-12年の韓国IT戦略の骨子は、「全産業とIT融合」「経済社会問題解決とIT」「核心IT産業の高度化」の3つのテーマに分けられる。

 グリーンIT、部品国産化、法律整備、人材養成など今までの戦略とあまり変わらない内容となっている。ただ、政府組織の再編により、情報通信部と産業資源部に分かれていた省庁が知識経済部にまとまったことで、省庁間の無駄な権力争いがなくなり予算の配分や執行をしやすくなったことは高く評価されている。また、何でも政府が支援して育てるという方針ではなく、ユビキタスセンサーネットワーク、ロボット、ソフトウェア、バイオなど、需要を掘り起せるところに集中的に政府の予算を投入するという市場主義も強調されている。

 韓国政府はNEW-IT戦略のために08年内に6800億ウォン、12年までの5年間に3兆5000億ウォンを投資する計画を立てている。

 しかし、IT業界からは不満の声も聞こえる。韓国の問題点とされているのが、大企業に偏った支援策だ。半導体・携帯電話・ディスプレーの三大産業がIT生産や輸出の大部分を占めている現状を脱皮し、中小企業が成長できる解決策はまだ見えていないという指摘がなされている。

 そのため、IT戦略を効率的に推進するため産官学がIT活用の成功事例を共有し、IT活用政策を検討する「IT Innovationフォーラム」も新設された。ITインフラの普及や個人のインターネットの利用率は高くても、企業のIT利活用は世界レベルに達していないのではないかという反省から、非IT企業のIT利活用やIT導入による競争力強化を目的としている。

 7月24日に開催された第1回目のフォーラムでは現代自動車と協力工場でのRFID導入事例が紹介された。最近は企業と企業の競争というより企業群同士の競争になっていて、大手企業と密接なかかわりを持つ中小企業のIT化なしでは企業群の競争力も高められないため政府の支援が必要であるということが議論された。

 今後の展開に中小企業の注目が集まっている。(趙 章恩●取材/文)