CGMに理解の動き

 クリエイティブ・コモンズ(CC)について、コンテンツの権利者であるコンテンツホルダーはどう捉えているのか──。  現状では、アマチュアが中心のユーザー参加型メディア(CGM)でのCCライセンス、ならびにCCの考え方に基づくライセンス形態の採用は急ピッチで進む。一方で、国内大手コンテンツホルダーがCCライセンスを本格的に採り入れる動きは、今のところまだみられない。

 だが、変化の兆しはある。大手コンテンツホルダーの角川グループホールディングス・角川歴彦会長兼CEOは、札幌で開催されたCCの国際会議「iCommons Summit(アイコモンズ・サミット)2008」(7月30日-8月1日)の基調講演の壇上に立った。CCについて直接的な言及は避けたものの、CCが注目される最大の要因となったCGMについては一定の理解を示し、会場を驚かせた。

 角川会長CEOは、動画投稿サイト世界大手であるYouTubeが台頭したとき、「日本のコンテンツホルダーや放送局は一時期、血まなこになってYouTubeを撃退するために奔走した」と話す。実際、内容を見てみると海外で高い評価を受けている日本のアニメやゲームが違法に投稿されるケースが目立ち、その大手コンテンツホルダーである角川グループは、「最も迷惑をこうむっている企業」と感じたそうだ。

 しかし、GoogleがYouTubeを傘下に入れた時点で、「自分たちコンテンツホルダーがWeb2.0の世界にいる」と実感。潮目が変わったと判断した。以降、YouTubeとの話し合いを意欲的に進め、投稿される角川グループのコンテンツ一つ一つについてチェック。一定の基準をもって一部を容認するスタンスをとる。コンテンツホルダーは一律的に拒絶するケースが多いなかで、柔軟な姿勢で臨む。

 それは、動画投稿サイトを「21世紀型の新しいプロモーションメディア」と角川グループでは捉えているからだ。グローバル規模のプロモーションではYouTube、国内向けではニコニコ動画をメインに位置づける。これに携帯電話などモバイル系のプロモーションチャネルを想定。さらにその先には、インターネットによるコンテンツ販売やレンタルを行う次世代の「デジタルネットワーク流通」を見据える。

 一次流通が映画館や劇場だとすれば、二次流通がDVDビデオやCD、三次流通が次世代デジタルネットワーク流通という位置づけだ。CGMによってアマチュアとプロの距離は想像を上回る速さで縮まり、流通形態も変わる。著作権法もこれに対応できるよう「変えていく必要がある」との認識を示す。(安藤章司●取材/文)