パートナーからアイデア伝授

 インフォテリア(平野洋一郎社長)は、さまざまなシステムのマスターデータを連携・管理できる「ASTERIA(アステリア) MDM One」を開発し、今年2月に発表した。国内ベンダーではMDM(マスターデータ管理)製品を開発したのは初めてのことだ。MDMのアイデアは、昨年1月にパートナー企業の役員が示唆してくれたものだった。

 同社の主力製品であるアステリアは500社1000本ほどの導入実績をほこるEAI(エンタープライズアプリケーション統合)製品だ。アステリアの用途は販売当初の企業間電子商取引でのデータ通信・変換から、社内での異種データの連携に変わってきていた。


 10年前はXMLでデータを標準化し、企業間商取引を効率化するムーブメントが世界的に起きていた。「ロゼッタネット」などの民間団体が立ち上がったのもこのころ。同社もさまざまなBtoBフレームワークに対応した製品を発売した。


 その後、ユーザー企業の情報システムが複雑になるにつれ、社内各部署で個別に使用してきたシステムを連携するニーズが発生してきた。このinB(企業内)ニーズの増加がMDM製品の伏線となっている。


 アステリアは主にパートナー経由で販売を行っているが、MDM Oneを開発するきっかけは、2007年1月、あるパートナー企業の役員が「MDMを知っているか」と質問してきたことがきっかけだった。その役員から「EAIで実績のあるインフォテリアだからこそやるべきだ、と背中を押された」(油野達也・執行役員 エンタープライズ事業部長)と、製品のアイデアを伝授された。


 油野部長は、エンタープライズ事業部 企画部の山崎将良・製品戦略マネージャにそのアイデアを相談する。山崎氏はこうしたアイデアを収益事業化するために、研究開発部に伝える仕事を担っていた。同社は50人規模の企業ながら、研究開発部を抱え、積極的に研究開発を行っている。


 当初は「アステリアのオプション製品として、アステリア本体に付属するような形を考えていた」と油野部長は話す。だが、「MDMの概念は奥深く、単なるデータ連携以外にも正しい管理方法なども含め、ベストプラクティスを実現するもの」(山崎氏)。アステリアを少し修正しただけで良しとする考えは甘かったのだ。MDMについて調べるうち、修正だけでは経営品質の向上につながるレベルに到達できず、もっと磨きをかける必要があることに気づいたという。(鍋島蓉子●取材/文)