年頭所感

【2009年 年頭所感】 IT企業トップの「決意」と「実行計画」 野村総合研究所(NRI)

2009/01/05 20:37

週刊BCN 2009年01月05日vol.1266掲載

変革の年

藤沼彰久 会長兼社長


 世界的な金融危機で、証券業界向けのビジネスは大きな影響を受けた。2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻もあり、証券・金融分野をビジネスの基盤としている当社は“震源地”に最も近いSIerだったとも言える。

 ただ、来年度(2010年3月期)は、増収増益を目指す方針に変わりはない。今年度の業績への影響は避けられないものの、一方で体制の立て直しや強化を進めて来期は再びビジネスを伸ばせるよう努める。証券業界は08年が恐らく最悪の状態で、09年はほぼ横ばい。また、同じ金融業でも当社にとって銀行向けのビジネスはまだ小さく、生損保も開拓の余地は大きい。

 金融以外の分野への進出もまだ道半ば。これを機に、金融業のIT投資に依存して“打率”を高める“金融一本足打法”からの脱却をより加速させる。売り上げ全体のなかで金融業向けの比率は約7割を占めており、一般産業向けはまだまだ伸ばす余地がある。「変革の年」とは、特定業種への偏りを是正し、まだ十分に進出できていない領域を開拓できるよう改革するという意味だ。

 これまでは忙しさにかまけて、将来に向けての仕込みが遅れがちであったことは否めない。産業分野を伸ばしたり、グローバル展開するなど、やりたいことは山ほどある。少し人的資源に余裕が出てきた今こそ変革を前進させ、景気回復とともにビジネスをより大きく伸ばせるようにしたい。

 

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