単価下落に管理費削減で対応

 中堅・中小企業は人員・資金力のある大企業と異なり、一度に大型取引を得ることが難しい。収益を上げるには、「多品種・小ロット」の取引を地道に積み上げていく必要がある。しかし最近は、製造業の「下請け」であれば納入先からの原価下げ圧力が増し、製品を製造・販売するメーカーも市場での単価下落に見舞われている。好況の頃のように「“数を稼ぐ”ことで売り上げ・利益を伸ばす」のが限界にきている業種が目立っている。

 本欄ではこうしたユーザー企業の悩みに対し、ITコーディネータ(ITC)がITの利活用で解決に導く事例に多く接してきた。富山県南砺市にある内装仕上工事を主に営む建設業の第一交易は、「ITバブル崩壊」や最近の経済不況で建設着工件数が激減した影響を受けた。当然、同社の内装着工件数も減る。そこで「売上至上主義や成り行き管理を排除」して粗利管理を徹底するため、販売・工事管理システムを導入して窮状を打開したという。

 地元で「ファッションセンターしまむら」の地域モデルと称されるファション・衣料品店「アビ・ヒサツネ」を展開する大分県の久恒衣料。事業が拡大するにつれて服飾品メーカーとの取引量が増加し、現在国内外で約600社を数える。その分、商品点数が膨大になり「商品管理」が煩雑になった。そこでバイヤーと売り場担当者、メーカーの3者間で情報共有できるEDI(電子データ交換)システムを構築した。この業界は「薄利多売」が常識。SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)の管理に手間を取られれば本業に支障をきたしかねず、IT導入を決断したのだ。

 企業によっては、事業を多角化しすぎて管理業務に負荷が生じる場合がある。鳥取県米子市にある建設業の大協組は、砕石業にはじまり土木、建築、温泉施設運営など多岐にわたる事業を展開。以前のシステムはオフコンだったが、リース切れを控えてオープンシステムに入れ替えた。公共事業に頼る砕石業は単価下落で逼迫。他の事業を含め小さい取引を積み上げる状況が続き、手書き帳票類の業務で経理を圧迫していた。新システムによって複数事業の経理システムを一元化したことで、休日出勤や持ち帰り業務を大幅に減らすことを実現した。

 こうした企業の案件は、ITCが支援する企業の事業全体や、それにまつわる業務フローを完璧に理解することが求められる。そこで生じている「ボトルネック」を探してITで埋める作業には、企業経営やITなどを熟知したITCの力が欠かせない。