IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>102.「IT経営力大賞」シリーズ かねひろ(上)

2009/08/10 16:40

週刊BCN 2009年08月10日vol.1296掲載

全社的なシステム連携を進める

 秋田県を本拠地として、包装資材関連の卸事業を手がける「かねひろ」(土田博美社長)は、ITを活用した経営革新に踏み出した。基幹を含めた全社的なシステム連携を模索。これにより、顧客企業の注文に関するプロセスやコストの改善など付加価値の追求や、社内の業務効率化を図ろうとしている。

 同社は、顧客企業のニーズにあわせた包装資材を提供できる能力を強みにしている。ギフト用や各地域の名産品向けのデザインボックスなどを揃えているほか、物流向けのプラスチック番重やポリ袋といった業務用資材、衣料関連のクリスタルパックなど幅広く商品を取り揃えている。もちろん、弁当や惣菜など食品関連の容器やレジ袋、エコバックなども扱っている。

 これは、BtoB向けのオンラインカタログ見積り販売サイト「パックウェブ.ビズ(http://www.packweb.biz)」が大きく寄与している。これにより、全国網で業界を問わずに新規顧客を開拓した。土田社長は、「サイトは、豊富な品揃えに加えて迅速なレスポンスやデリバリーが評価を受けている。現段階で、1万5000社程度を新規で獲得した」と鼻を高くする。また、「パッケージプラザ」という店名で小売店を構え、来店者の声を生で収集するためのアンテナショップにしている。

 インターネットビジネスで業績を伸ばし、小売店も営む同社が全社的なシステム連携に乗り出したのは、「顧客企業に対するサービスを拡充していきたい」との考えからだ。社内の基幹システムとサイト、そして小売店のシステムが連携すれば、顧客企業のニーズを的確に掴めると判断したのだ。

 同社が経営革新に着手したのは昨年秋のこと。秋田県を中心に地元企業へのコンサルティングを手がけるASTコンサルタント代表取締役でITコーディネータの大澤昌氏に依頼したのが始まりだ。かねひろが経済産業省の「IT経営力大賞」に応募する際に大澤ITCの支援を受けたのが最初の出会いだった。土田社長はIT化をさらに進めたいと考え、大澤ITCに相談したというのが経緯だ。

 大澤ITCは、「土田社長をはじめ幹部層を交えて経営戦略の策定を進めたところ、かねひろさんの社員の多くはITによる変革の意識が強いと実感した」と振り返る。どのようなことを実現するためにIT化を図るのかについて議論を重ね、今年6月に経営戦略を策定した。かねひろと大澤ITCによる二人三脚の取り組みが本格的に始まったのである。

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