05年にITC資格を取得した若林修一・WebSERVEsmart営業本部担当課長。Fsolには36人のITCが在籍しているが、営業担当者が資格を取得している例は少ない
 約2000人のSEを抱えるソフト開発会社、富士通システムソリューションズ(Fsol、杉本隆治社長)には、現在36人の企業内ITコーディネータ(ITC)が在籍している。そのうち、営業を担当するスタッフの資格取得者は6~7人で、同社の若林修一・WebSERVEsmart営業本部第二営業部担当課長はそのなかの一人だ。2005年にITCとなった。

 ITベンダーの営業担当者が自身のスキルアップやPRにつなげることができる資格は少ない。そのなかで、「経営戦略に沿ったITソリューションを提案する能力を身につけて、それをアピールできる国家資格であることが魅力だった」(若林担当課長)という。

 若林担当課長がITCだったおかげでプロジェクトがスムーズに進行した事例がある。それは、全国に9拠点の営業所・事業所を構える中堅倉庫会社の基幹システム構築の案件で、独立系ITCとのコラボレーションだった。

 Fsolは、新規顧客としてその倉庫会社にアプローチした時、すでに独立系のITCが同社のIT戦略立案やシステム構築に携わっていた。そのなかで、独立系ITCから協業を提案され、複数社が名を連ねたコンペに参加した。初期段階で10社のベンダーが参加し、その後3社に絞り込まれ、最終的にFsolが選ばれた。RFP(提案依頼書)に沿った提案、説得力のある見積金額などが決め手になったという。独立系ITCが全体のプロジェクトをコーディネートし、その下でFsolがシステム開発を担当する体制を敷いた。独立系ITCが、経営課題やビジネス拡大につなげるためのIT戦略を描き、RFPの作成までを行い、それに沿ったシステムを開発する役目を負うのがFsolだった。Fsolは、「WebSERVE/物流統合ソリューション」を核としてシステムを開発した。若林担当課長は、単純にRFP通りに開発を進めるだけでなく、ベンダーの立場から改善点やシステム開発のポイントを提案。その要望を独立系ITCも受け入れ、両者の強みを生かしたシステム開発に成功した。

 「ITCの資格を取得するために学んだことがお互いに共通しているため、考えていることも同じで、話がスムーズに進んだ。ITC同士のコラボレーションだからこそ、うまく運んだ好事例だと思う」と若林担当課長は説明する。プロジェクトの売り上げはFsolにとって決して大きくはなかったものの、学ぶべきところが多い事例として印象に残っているという。

 ITCが単独で、戦略立案からシステムの企画・設計、システム構築・運用までを担当するケースはほとんどない。とくにシステムの企画・運用はITベンダーと協業することになることが多い。そんな状況で、ITベンダー内にITCがいれば、独立系ITCにとっても心強い。「ITCだったから案件が取れたわけではないが、少なからず貢献した部分はある」(若林担当課長)。独立系ITCと企業内ITCとのコラボレーションというユニークな事例。ITCの資格を取得していたことが強みになったことは間違いない。