Fsolの社内に36人在籍するITCのなかの一人である若林修一統括課長。5年ほど前に資格を取得した。「経営戦略に沿ったIT戦略を提案できるようになった」と資格のメリットを説明する
 富士通システムソリューションズ(Fsol、杉本隆治社長)は、約2000人のシステムエンジニア(SE)を抱えるソフト開発会社だ。同社が抱えるSEの人員は、富士通の子会社のなかでトップクラス。関東圏の中堅・中小企業(SMB)向けシステム開発を得意にする富士通グループの有力ソフトハウスだ。

 FsolがITコーディネータ(ITC)資格に着眼したのは、ITC制度が誕生したのとほぼ同じタイミングの2000年後半だった。資格を取得するための費用を会社が負担し、従業員に取得を推奨した。営業担当者やSEなど、さまざまな職種の社員がITCの資格取得に挑戦し、現在では資格保有者は36人にまで増えている。

 「経営とITを結びつける。IT知識に乏しい経営者に、IT活用のメリットを伝える橋渡し役になることができるのが、この資格だと思った」と、ITC資格取得者の一人である若林修一・WebSERVEsmart営業本部第二営業部担当課長は、ITCに関心をもった理由を話している。

 若林担当課長は5年ほど前にITCを取得し、その後、毎回更新している。過去、開発と営業で培った知識とノウハウが生き、「資格取得の試験も更新も、それほど苦労はしなかった」という。

 「WebSERVEsmart」は、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を取り入れた業務ソリューションで、中堅から中小クラスのユーザー企業が多い。ITに明るくない経営者もいるなかで、若林担当課長は「国家資格であるITCの肩書きをもっていることは、信頼を得られる要素になっている」という。名刺にITCであることを記載しており、「私がお相手するお客さんのだいたい10人中4人ぐらいはITCを知っている。提案の場で話題になることがあり、武器になっている」と、その効用を語る。

 ただ、その一方で「“企業内”ITCだからこそ、メリットが感じにくい部分もある」ともいう。

 「ITCのコンセプトは、中立的立場で顧客の経営課題を解決すること。フリーランスの経営コンサルタントなど、ベンダーに属していないITCであれば、このコンセプトに則った提案が可能だろう。だが、ベンダーに所属している私のような企業内ITCは、当然ながら自社製品を中心とした提案内容になり、なかなか資格の特徴に沿った営業がしにくい」と打ち明ける。

 そんななか、ITCであったからこそ案件を獲得することができ、プロジェクトがスムーズに進んだ経験がある。ある倉庫会社の基幹システム構築案件だ。それは、独立系ITCがプロジェクト全体をコーディネートし、それを若林担当課長ほかFsolのメンバーが支える体制で挑んだプロジェクトだった。