IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!
<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>17.利恵産業(上) 多品種少量生産に対応する
2011/02/24 16:04
週刊BCN 2011年02月21日vol.1371掲載
その契機となったのは、2006年10月に5か年の中期経営目標として売上高20%、経常利益5%の伸長を掲げ、10年間で売上高を60%伸ばす計画を打ち出したことだ。
目標達成に向けて取り組むべき施策として、多品種少量生産に対応するシステムやSCMへの対応、製品付加価値の向上、エンドユーザー事業の展開、教育・評価制度・福利厚生などによる組織力強化などの必要性に迫られた。
従来はオフコンのAS 400で受注管理業務をこなし、データベースソフト「Microsoft Access」で業務を補完してきた。遠藤哲・製造部商品開発課課長は、「問題は、標準化が難しく、システム担当者が退職するとブラックボックス化することだった」と、当時を振り返る。まず、着手したのは多品種少量生産に対応できる新システムの構築だった。
業務の現状分析やシステム要件の洗い出しに関わったITCの田中渉氏は「システム構築で一番のネックになるのは人材であり、組織だ。遠藤課長が主導したからこそ、プロジェクトはスムーズに進んだ」と手放しで褒める。システム構築を担当したブロード・システム・ソリューションズの徳岡広宣・取締役システム部部長は、「ITに抵抗感がある職人気質の従業員を抱えている食品会社が多いなか、利恵産業は非常に理解が早かった」と話す。
遠藤課長は、入社してから8年ほどはコンピュータに触れたことがなかったが、独学で知識を身につけていった人物。製造現場をよく知る人物だけに、周囲の理解を得やすい立場にあったことが、プロジェクトの成功につながった。
プロジェクトのキックオフは2006年11月。現状の情報フローをIT活用で改善することを念頭に置いて、業務改革に乗り出した。(信澤健太)
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