さらなる拡充でERP構築へ

 大手食品・製薬会社などの参入が相次ぐ介護食品市場。先駆的存在として神奈川県相模原市にある介護食品会社のフードケア(竹内豊社長)は、ヒット商品を世に出す。昨年は、ソフトな食感を得られる「EPU-rich(エプリッチ)」というパック状のエネルギー補給食品が、医療機関などで人気商品となった。「噛むことや飲み込む力が衰えた高齢者でも、美味しく補給できる」(竹内社長)。「研究開発室」を設け、患者などのニーズと病態栄養学に基づく新商品開発が奏功している。

 しかし一方で、追いかける大手メーカーを意識して、「将来を見据え、競争力をもつビジネスモデルを作り、リアルタイムに顧客へ商品を届けることが重要」(竹内社長)と認識し、競合と戦ううえで支障をきたしている業務をITで改善し、順次フローを修正していく必要性を感じていた。2005年1月に紹介で出会ったITコーディネータの田中渉氏(東京IT経営センター代表取締役)と、経営上の問題点について腹蔵なく話し合い、二人三脚で段階的なIT導入を進めてきた。

 06年4月に稼働した新システムは、最も大きなボトルネックだった受発注管理をITで効率化するものだった。従来から受注管理に利用していたPCの販売管理ソフトウェア「弥生販売」に、マイクロソフトのデータベース「Access」で、「受注入力」「在庫管理」「出荷調整」の機能を追加開発したほか、全国の倉庫に出す「出荷指示書」の伝票を出力できるようにした。

 総務部の松下誠係長は「それまでは、『弥生販売』に受注を打ち込む作業に加え、在庫管理や販売データを、それぞれ別の管理ソフトに入力していた。それが新システムで情報共有でき、一度の入力で済むようになった」と、効率化が図れたことを嬉しそうに語る。ハードウェアやソフト開発など初期投資額は200-300万円で、業務の大幅な改善を実現したことになる。

 同社のソフト開発は、東京IT経営センターのパートナーが手作業で構築したものだ。「他の汎用ソフトを組み合わせて構築することも考えた。しかし、業務に適合せず容易には本稼働できない例をこれまで多く見てきた」(田中氏)という経験から、フードケアが描く“青写真”を基に手作業を選択した。

 竹内社長は「将来的には、委託先の製造計画や代理店とのデータ交換などを含めたERP(統合基幹業務システム)を構築したい。自分たちの気持ちを反映するうえで、ITC(田中氏)の存在は欠かせない」として、引き続き密に連携する。

 少数精鋭で最大限の利益を得る最高のモデルを実現しようと、フードケアのIT化への意欲は途切れない。(谷畑良胤●取材/文)