次世代IBM製品の「革新」 IBMサーバー戦略を追う

<次世代IBM製品の「革新」 IBMサーバー戦略を追う>02 「System x」の販売戦略 統合・仮想案件を確実につかむ

2011/04/21 20:29

週刊BCN 2011年04月18日vol.1379掲載

 米IBM(サミュエル・パルミサーノ会長)の2010年度(2010年12月期)実績では、クラウドコンピューティングの普及が加速するなかにあって、x86サーバーの販売台数が大幅に伸びた。IBM第5世代エンタープライズ『Xアーキテクチャ(eX5)』のテクノロジー搭載のサーバーが、この好調をけん引したのだ。11年度も、IBMはパートナー支援に対する投資とミッドマーケットの開拓を積極化していく。

ローランド・ヘイガン氏
 IBMのサーバー製品で最も販売ボリュームの大きいx86サーバーの「System x」。2010年度は、景気停滞の影響をもろともせず、世界市場で前年比33%、日本市場でも同24%も成長した。「System x」製品の販売戦略担当責任者のローランド・ヘイガン氏は、こう解説する。「IBM第5世代エンタープライズ『Xアーキテクチャ(eX5)』のテクノロジーを搭載したサーバー製品が加速度的に伸びた」。

 eX5は、x86サーバーの常識を破る大容量メモリの搭載で、ワークロードに最適なパフォーマンスを選択して構成できる柔軟性と拡張性を実現できる。「eX5搭載のサーバー製品だけで、前年比3倍の販売台数に達した」(同)と、仮想環境の構築の増加と呼応してオンプレミス(企業内)だけでなく、ホスティング環境へ波及したという。

 このためIBMは「世界的にパートナー向けの投資を大きく増やす」(ヘイガン氏)と、11年度のパートナーに対するトレーニングや教育、販売支援などへ積極的に資金を投入する考えだ。ヘイガン氏は「ハイボリューム層とブレード製品層に分けた販売アプローチにセールスモデルを変革して、2年で大きな成果をあげることができた」として、現行制度の拡充を急ぐ。サーバーを構築する際の全体的なインフラ整備や統合、仮想化などの技術力をもつパートナーを増やすために、これらのノウハウ・技術を証明する資格制度「System x Specialty Program」の有資格者を増やす。

 そのうえで、パートナーには、サーバー統合の仮想化ソリューション「VMware Virtual Desktop Infrastructure(VDI)」を使って、操作性や管理性の向上、TCO(総所有コスト)削減、柔軟性を最適化するシンクライアント環境の構築を積極的に進めるべく支援する考えだ。

 ヘイガン氏は、「昨年度、クラウドが進展するなかでも、x86サーバーの販売台数が大きく伸びた。統合・仮想化案件で当社のアーキテクチャが受け入れられた証だ」と、統合・仮想化需要に乗じて販売を増やす。また、東日本大震災に関連し「IBM System x関連で、日本に対してできることを最優先したい」(同)と、消費電力削減に向けた取り組みをチームで思案中という。今年後半にはブレードとラックの両製品群で新たなテクノロジーを搭載した新製品を出し、この好調ぶりを持続させる。(谷畑良胤)

  • 1

関連記事

<次世代IBM製品の「革新」 IBMサーバー戦略を追う>01 「System x」の製品戦略 「eX5」が常識を破った

<特報>米IBM、共同マーケティングサイトを新設、資金援助も開始

米IBM、メインフレームで競合から約1200社を奪った、ロサミリア ゼネラルマネージャーが公表

<日本IBMの『クラウド』が競争力を生む「大きく変わるパートナーリング」>1 プロローグ サービスを「売る」体制を構築せよ