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<日本IBMの『クラウド』が競争力を生む「大きく変わるパートナーリング」>1 プロローグ サービスを「売る」体制を構築せよ
2010/12/02 21:07
週刊BCN 2010年11月29日vol.1360掲載
「クラウドコンピューティング」の時代が幕を開け、IT業界は様相が大きく変わりつつある。ハードウェアとソフトウェアなど“モノ”を再販するビジネスは、収益性の面での魅力が低下した。“サービス”を売るモデルへの転換が求められている。日本のIT市場の成長を支えてきたパートナービジネスも、大きな転換期にある。とくに多くのチャネルベンダーと連携する大手ITメーカーは、新旧パートナーとのリレーションをどうすべきかに頭を悩ませている。IT業界が向かうべき方向が混沌とするなかで、日本IBM(橋本孝之社長)は、一つの解を見出そうとしている。この連載では、同社が打ち立てた新たなパートナーモデルを日本IBM、パートナー、ユーザーの視点から検証する。(谷畑良胤)
日本IBMは2010年1月、クラウド時代に向けた新たなビジネスパートナー(BP)向け施策と、大胆な組織再編となる新体制を発表した。同時に、中堅・中小企業(SMB)を対象にクラウド中心のサービスを提供する新たなパートナーモデルとして「IBM サービス・オリエンテッド・パートナリング(IBM SOP)」を打ち出し、4月から本格稼働させている。 IBM SOPなどパートナー制度を取り仕切る岩井淳文・パートナー&広域事業担当執行役員によると、この改革は、「サービスのパートナーリングを構築することを目的としている。クラウドの提供は、パートナーとのリレーションがあってこそ、最大の付加価値を生む」という見解だ。オフコン、クライアント・サーバー(C/S)の時代から連綿と築いてきたパートナーとの関係性を改めて強化し、全国の隅々に行き届く多角的な支援体制を敷いたというのだ。 今回の組織再編を大胆とみるのには理由がある。10年1月、日本IBMは「パートナー事業部」と従業員1000人未満のSMB向けに直販する「ゼネラルビジネス(GB)第一事業部」を「パートナー&広域事業部」に統合した。つまり、直販部門とパートナー部門が、同社の歴史上初めて一つになったのだ。従来、地方の有力企業に対する営業は、同社の直販部隊が担っていた。しかし、このままでは「地場の有力ベンダーと競合・重複してしまう」(伊藤昇・パートナー&広域事業広域事業部長/理事)との危機感があった。そこで、全国の広域事業のビジネスはすべて「パートナーとともに推進する」(伊藤・事業部長)ことをコミットし、組織改編を断行したのだ。 「日本IBMはサービスを売らない」(岩井執行役員)。この言葉の意味するところは、同社がメーカーに徹するということだ。クラウド・サービスや従前のシステム、新たなソリューションを融合した付加価値の高いシステムを販売するのは、パートナーであることを宣言している。同社はそのための支援策を徹底的に追求しようとしているのだ。(つづく)
「クラウドコンピューティング」の時代が幕を開け、IT業界は様相が大きく変わりつつある。ハードウェアとソフトウェアなど“モノ”を再販するビジネスは、収益性の面での魅力が低下した。“サービス”を売るモデルへの転換が求められている。日本のIT市場の成長を支えてきたパートナービジネスも、大きな転換期にある。とくに多くのチャネルベンダーと連携する大手ITメーカーは、新旧パートナーとのリレーションをどうすべきかに頭を悩ませている。IT業界が向かうべき方向が混沌とするなかで、日本IBM(橋本孝之社長)は、一つの解を見出そうとしている。この連載では、同社が打ち立てた新たなパートナーモデルを日本IBM、パートナー、ユーザーの視点から検証する。(谷畑良胤)
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