オフィスの節電で、やってはならないのが“やみくもな節電”である。前年同期比で15%削減するとしたら、それ以上は削らないことだ。仕事をこなすスペースというオフィスの機能を損ね、生産性が落ちてしまうからだ。“節電不況”に陥るようでは、経済の復興が遠のきかねない。

“やみくも節電”は御法度
BEMSで数値に基づく節度ある対策を

内田洋行
村浩二・センター長
 ITベンダーは、目標値きっかりの節電を実現するためにビルのエネルギーを管理・可視化する「BEMS(Building and Energy Management System)」商材を相次いで拡充し、数値に基づく節度ある節電を訴求している。

 オフィス設備とITを組み合わせた商材づくりに強みを発揮する内田洋行は、省エネ支援システム「EnerSense(エネルセンス)」を4月に製品化した。節電状況を見える化するBEMS製品だが、同社は、ここに“内田洋行らしさ”を加える。その代表格が、無線と電気を使わないセンサーやスイッチやAR(拡張現実)技術の応用だ。

 無線は、ケーブル用の空間がない古い事業所でもセンサー類を自在に配置でき、配置替えをスムーズに行うことができる。さらに、ドイツのエンオーシャン社が開発している外部電源を使わないセンサーやスイッチ類を用いることで、「電源や通信ケーブルの配線を極力なくし、できる限り自由にセンサーやスイッチ類を配置できるようにした」(村浩二・次世代ソリューション開発センター長)と説明する。電卓のソーラー電池や、電子ライターの原理とほぼ同じで、室内照明を電気に変えて温度や湿度を測定したり、人の手でスイッチを“カチッ”と入れる瞬間に電気を起こして、その信号を無線で送る。頭上の照明を手元のスイッチでこまめに消灯すれば節電に役立つ。

 もう一つは、内田洋行が早くから研究開発に取り組んでいるAR(拡張現実)技術だ。まだ試作段階だが、スマートフォン付属のカメラを節電対象とする機器に向けると、画面上に節電の状況を示すキャラクターを表示する。節電対象機器をカメラで読み取って、「EnerSense」から対象機器の節電情報を引き出す仕組みで、節電状況が悪い場合はしかめっ面のキャラクターが画面に現れて、良好の場合は笑顔で登場するといった具合だ。現実とバーチャルを融合したもので、村センター長は「事業所の一般ユーザーが楽しみながら節電に参加できるインターフェースづくりに役立てる」という方針を示している。(安藤章司)

BEMSと組み合わせて使う内田洋行“らしさ”
 
電卓の太陽電池や電子ライター原理と通じる電源不要のセンサーやスイッチ。左から照度センサー、温度センサー、スイッチ。配線が不要で自由度の高い取り回しが特徴だ スマートフォンとAR(拡張現実)技術を融合したユーザー参加型節電インターフェース。節電状況が芳しくない場合には、画面のキャラクターの表情が曇る