業務用調味料と食品添加物の製造加工・販売を手がける東海物産(池田隆一社長)では、食品メーカーが同社の新製品を採用決定してから納入に至るまでのリードタイムが平均2週間、長い場合は1か月というのがあたりまえになっていた。加えて、原材料や原油の価格が高騰するなか、最終商品の低価格化の影響で、値上げをすることが難しい状況にあった。だが、基幹システムを刷新することで、これらの経営課題を解決する手立てを見つけることができた。
従来は、手組みの業務系システムと仕入・原料原価管理システム、パッケージの財務会計システムが混在していた。そのため、情報連携をするのに手入力や手計算といった作業を余儀なくされていた。
システム刷新プロジェクトの責任者を務めた鎌田敏治常務取締役生産担当は、「システムの老朽化への対応とシステム統合の必要性を感じていた。経理や営業、資材、製造、研究開発など各業務8部門の中心的人材を集めてプロジェクトを立ち上げた」と話す。
しかし、社内に情報システム部門を設けているわけではなかった。鎌田常務は、阿部満氏らITコーディネータ(ITC)を頼ることを決断。ITCの指導を受けながらRFP(提案依頼書)を策定し、システム刷新プロジェクトに取り組んだ。
ベンダー4社の提案を精査し、最も高く評価したのが内田洋行のシステムだった。食品業向けに豊富な実績をもつ同社の統合基幹業務システム(ERP)「スーパーカクテル デュオFOODs」をはじめ、JFEシステムズの配合統合管理システム「Quebel」とウイングアークテクノロジーズのビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Dr.Sum EA」の導入を決断した。
導入の決め手となったのは、RFPに対して説得力のある価格や納期、品質に加え、業務上の課題点の解決策を提示してきた内田洋行担当者のプレゼンテーション力だった。「当社が抱える課題は、食品業界での実績が豊富でなければ解決することはできないものだった。内田洋行のシステムエンジニアは、何をしなければならないかをよく理解していた」と鎌田常務は振り返る。(つづく)(信澤健太)

オフィスの真ん中にサーバーが鎮座している