シャープは、企業ビジョン「エコ・ポジティブ カンパニー」を打ち出して、ユーザー、部材調達先(サプライヤー)を含めた、すべてのステークホルダーとともに、事業活動による環境負荷(ネガティブ・インパクト)を大幅に上回る環境貢献(ポジティブ・インパクト)を果たす企業を目指している。

 この実現に向けて、大きな課題となっていたのが欧州(EU)の「REACH規則」など世界各国の環境法規制への対応だ。REACH規則に従って、同社のAV・通信機器や白物家電などに使われる部材調達について、調達先であるサプライヤーを巻き込んでサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)のシステムを構築する必要が生じている。シャープの清水正雄・環境安全本部グリーンプロダクト企画推進部長は、「サプライ・チェーン(SC)のどこかのプロセスで、有害物質や発がん性の疑いがある高懸念物質(SVHC)が混入してないかどうかをトレースする、情報伝達のスキームが必要だった」と事情を説明し、eBASE導入前からすでに取り組みを始めていたと述懐する。

 REACH規則は、EUにおける人の健康や環境保護のために化学物質とその使用を管理する規則をいう。監視対象となるのは、すべての化学物質・調剤、およびSVHCという有害性の高い物質である。それら物質の使用状況について、情報伝達と欧州化学品庁への登録・届出義務がある。

 中国でも、2007年3月1日から、いわゆる中国版RoHSが施行された。中国版RoHSの第一段階では非含有の要求はないが、現在、第二段階における非含有要求が携帯電話、プリンタなどで検討されている。さらには、インドやベトナムでも同様の規制を制定済み、あるいは検討中という。製品を輸出するメーカーは世界的な対応が必須となっている。

 しかし、シャープの1次取引先だけでサプライヤーは3000社以上。しかも、これらのサプライヤーは国内だけでなく中国、タイ、マレーシアなどに所在する。清水部長は「1次取引先の捕捉はできつつある。だが、2次取引先を含めると、従来の報告方法では規則を遵守することができない。このままではSC全体に大きな負担を強いることになる」と考え、新たな仕組みを構築することを決断した。大手メーカーのなかでも先行するシャープの「グリーン調達」を、さらにパワーアップするためにデータベースベンダーのeBASE(常包浩司社長)との二人三脚が始まった。(谷畑良胤)