大津鉄工は、同業者との協業を深めるために、耐震基礎工事の技術である「Dスルー工法」の普及を目指した企業連合体を立ち上げた。業界団体のDスルー施工連絡会と有限責任事業組合(LLP)のDスルーである。「Dスルー工法」の特許は、Dスルーの4組合員が共有している。
企業連合体のビジネスを拡大するために構築したのが、BtoBtoP(パーソナル)ビジネスを基本コンセプトに据える「Dスルーランド」システムだ。「Dスルーランド」は、会員である同業者や得意先担当者、仕入先担当者が建築物件や発注図面(CADデータ)、技術情報などをインターネット上で広く共有できるサービスである。
大津鉄工の大津尚彦社長は、「北は北海道から南は九州まで、全国の18社が会員になっている。地域が同じだと競合になる可能性があるので、会員は慎重に募っている。1地域に1社が理想だ」としている。「『Dスルーランド』を利用すれば、同じ建築物件で会員同士が競合することがなくなるし、見積もりの段階なのかどうかといった情報を共有できる」とも説明する。
会員である同業者にとって、値崩れを防ぐことができるのが最大のメリットだ。「Dスルー工法」の普及は新規受注とリピータ―の増加にもつながっており、売り上げの維持と利益の確保に貢献している。
入札価格や落札者などについての協定を結ぶわけではないので、カルテルにはあたらない。得意先や仕入先の担当者は、建築物件の情報を「Dスルーランド」上で確認することができるので、わざわざメーカーに出向いたり、電話で問い合わせたりする必要がないという利点がある。
水口和美ITコーディネータ(ITC)は、大津鉄工の一連のIT化に道筋をつけた。幹部研修を通じた大津鉄工の戦略策定支援に加えて、システム構築までのコンサルティングを手がけた。「公共工事だけではジリ貧というなかで、工場の効率化やLLPの立ち上げによる『Dスルー工法』の普及に取り組もうと決めた。まず戦略ありきのIT活用が、成功の最も重要なポイントだ」と語る。(信澤健太)