私は、アパレルメーカーで長年パタンナー(洋服の設計図を作成する人)としての仕事をしてきた経歴をもつITコーディネータ(ITC)で、自身の経験を生かして、アパレル業界に特化してITを活用した経営を支援している。
アパレルメーカーは、ITシステムの導入が往々にしてスムーズにいかないケースが多いと感じている。例えば、基幹システムの導入を検討している経営者が、見積書を見たときに、「なんでこんなに高いんだ。騙されているのだろうか」と感じることがある。アパレル業界では、IT投資に積極的な企業は少なく、数万円のソフトでも高いと感じる経営者が多い。ビーズなど、細かな商材の取引が多く、原価管理には、いまだに銭という通貨単位を使用する。そんなアパレルの経営者が、数百万円する基幹システムの見積書を見れば、金額の大きさにびっくりしてしまうのも無理はない。
また、クリエイティブな産業なので、「こんな感じでデザインしてほしい」など、抽象的なイメージでコミュニケーションをとることが多く、具体的なシステムの要件についてIT企業の担当者とやり取りをすることが難しい。いざ、システムを導入するとなったときにも、「思っていたものと違う」という意見が出たりするので、IT企業としても、工数が増えて利益を捻出しにくくなる。
私の仕事の一つが、こうしたシステムの導入時に、アパレルメーカーとITベンダーとのやり取りの間を取り持つこと。アパレルに従事した経験をもつ私は、両者の意見を汲み取って、円滑に案件を進めることができる。この強みを生かして、独立起業してからこれまでに、約150社のアパレルメーカーを支援してきた。(談)(真鍋武)
【ITコーディネータのプロフィール】名前:冨田さより
所在地:東京都練馬区
所属:ペンタゴン
略歴:アパレル業でパタンナーの業務に従事したのち、CAD/CAMメーカーに転職。その後、独立してアパレル業のIT活用を支援するペンタゴンを設立。2008年にITコーディネータの資格を取得した。