IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>75.「IT経営力大賞」シリーズ ラブリークイーン(上)

2009/01/05 16:40

週刊BCN 2009年01月05日vol.1266掲載

店舗在庫を携帯電話で管理

 アパレルメーカーのラブリークィーン(岐阜市、井上武社長)は、携帯電話を活用した販売・在庫管理の支援システムを導入した。同社は女性向けフォーマルウエアやミセスファッションを手がけており、全国のデパートやGMS(総合小売店)などに約700の販売店舗を展開している。店舗数が多いだけに、店頭在庫の圧縮は長年の課題だった。そこで導入したのが、店舗から携帯電話を使ってリアルタイムに販売状況を本社に送るシステム「ハッピーフォーカス」。システム名は“Happy for Customer”のコンセプトを表した造語で、顧客満足度の向上も狙いの一つである。ITコーディネータ(ITC)のコンサルティングを受けて、従来システムより割安に導入することができた。

 当初導入を試みていたシステムは、PDA(携帯情報端末)に通信モジュール、バーコードスキャナの組み合わせだった。PDAが1台約25万円、保守料と通信料で月々約7000円かかるもので、全店舗に導入するにはコストがかかりすぎる。百貨店などにテナントとして出店する形態の約160店舗に先行的に導入したものの、全店舗展開には二の足を踏んでいた。問題を抱えていたときに解決の糸口を提供してくれたのがITCである。

 システム担当の井上真典常務は、中小企業において独自の経営手法を実践し、業績を伸ばしてきたことで有名な武蔵野の小山昇社長のもとで経営を学んでいる。小山社長はITC活動にも積極的に協力。2003年、地元IT産業振興を担う戦略拠点「ソフトピアジャパン」で小山社長が講演する機会があり、井上常務も聴講に出かけた。そのとき、ITCの活動事例を知り、コンサルティングを依頼するきっかけとなった。

 担当することになったのは大垣共立銀行グループで中堅SIerの共立コンピューターサービス(KCS)の小川貴義ITC。ITCの活躍により各ベンダー・キャリア等の企業間の繋がりを持つことができ、新発想のシステム開発に成功。通常の企業の力量では集められないメンバーをITCの力によって集結させることができた。そうして新しく設計し直したのが携帯電話と無線バーコードリーダーを組み合わせた仕組みだ。

 携帯電話は、少し古い型を使うことで店頭販売価格が実質0円のものを採用。購入価格を抑えた。バーコードリーダーも3万円程度のものを選び、初期導入コストは従来システムの約25万円のおよそ8分の1にまで大幅圧縮。維持費も半額以下に低減させた。先行導入した「160店舗分の予算で、全店舗に導入できる」(井上常務)ことから、一気に全国の店舗で同システムを採用することに決めた。
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