飲食店を専門領域としているITコーディネータ(ITC)の私は、大まかに分けて2種類のビジネスを手がけている。一つは、前回紹介したウェブマーケティングで、もう一つは飲食店の売り上げを高めるためのコンサルティングだ。その一環として、メニューブックの作成を手がけている。
メニューブックの作成といっても、ただ単に経営者の要望に沿ってデザインするだけというのではない。デザインがすぐれていることが売り上げの向上につながるとは限らないからだ。そこで、私は飲食店のなかに眠っているPOSレジのデータを活用して、訪れたお客様に店の魅力を最も効果的にアピールできるように計算したメニューブックを作成するようにしている。
ITの活用に疎い飲食店でも、大抵はPOSレジが置いてある。しかし、その日の大まかな売り上げを把握したり、会計処理を簡単にすることだけにPOSレジを活用している経営者が多いのが実際のところだ。私は、POSデータから商品の単価、原価、粗利まで詳細を分析し、そこで得た結果をもとに、お客様に人気があって、利益が出る商品のオーダーが増えるようにするなど、工夫を凝らす。データに基づいたメニューブックを作成すれば、売り上げや利益の向上につなげることができる。
なかにはPOSレジを備えていない飲食店もあるが、その場合には、お客さんのオーダー数を記入したメモの情報を2週間ほど蓄積してもらい、そのメモをもとに顧客の動向を分析する。作業の負担をかけることにはなるが、実際にメニューブックができあがって、以前よりも売り上げが増えた飲食店の経営者からは、「もっと早くデータを活用すればよかった」と感謝されている。
勘と経験だけでなく、データの裏づけをもとにメニューブックをつくると、その後の効果が確実に出る。私としても、多くの飲食店にPOSデータを活用してほしいと思っている。(談)(真鍋武)