私は、飲食店を専門領域として、ITを活用したコンサルティングを手がけているITコーディネータ（ITC）である。支援の実績は、年間で数百件に及ぶ。顧客の中心は、IT担当者を置いていない1～10店舗をもつ飲食店だが、最近は、インターネットで検索して、行く店を決める人が増えていることから、ウェブマーケティングの案件が急増している。

　インターネットの活用にあたって、私が強く訴えかけていることは、情報の流通経路を増やす必要があるということだ。ただホームページを制作するだけでなく、ブログやFacebook、Twitterなどのソーシャルメディアを活用する。知り合いなどを通じて、お店の情報を拡散すれば、より多くの人にお店を認知してもらって、来客の増加につなげることができる。「カウンターが1席空いている」「ゴルフコンペを開催する」などの情報を発信すれば、顧客の来店を促すことにもつながる。

　とはいえ、顧問先の大半はソーシャルの活用経験がない40～60歳の経営者なので、店舗の魅力をはじめからうまくアピールできるわけではない。さらに、ソーシャルを活用して顧客を増やすためには、継続が欠かせないが、忙しい飲食店は、簡単には続けられない場合がある。そこで私は、まずは個人として、使い方を覚えてもらい、普段から情報を発信することに慣れてもらったうえで、お店としての使い方を伝授するようにしている。日替わりメニューや本日のお勧め料理の紹介など、ソーシャルを簡単に活用するための15のテンプレートを用意しており、そのなかから経営者にできそうなことを選んでいただく。実際に、ソーシャル活用の成果として、「今年初めて、単月の売り上げが昨年対比で伸びた」「メディアの取材が来た」などの声をいただいている。（談）（構成：真鍋武）