前号、前々号と日立システムズの介護事業者向け業務パッケージソフトが中国で売れ筋商材としての地歩を固めていることをレポートした。同社はほかにも現地リース会社向けの業務管理システムで実績を出し始めており、海外でのヒット商材づくりの方法論を確立しつつある。
現地密着アプローチを確立

小林茂彦
董事長 当初は、すでに日本国内で販売しているパッケージを中国へもって行くことを検討したというが、市場調査を進めていくうちに、日中の業務フローや法規制、商慣習が大きく違うことに気づいた。既存の国内向けパッケージをそのまま中国にもち込む発想を改め、中国市場向けに大幅につくり直すことを決断。介護事業者向けシステムは、ユーザーやビジネスパートナーの全面的な協力を得て、2年がかりで開発したものだ。リース会社向けシステムは、先行してリース事業を手がけている日立建機グループと協業して、中国でのリース業務のノウハウを取り入れている。
介護やリースは同社の得意分野ではあるものの、過去の国内での成功体験を断ち切って、中国で再スタートを切る謙虚さ、向学心の強さがユーザーやビジネスパートナーから高く評価され、着実に受注を獲得している。同社中国法人の小林茂彦董事長が「中国向けの介護については、研究開発拠点を一刻も早く中国へ移したい」というように、さらに“現地密着”の度合いを高める。(安藤章司)