脳波センサを組み込んだニューロスカイジャパン(ニューロスカイ)のウェアラブルシステム──。本連載(vol.1551、1552)で紹介した同システムをビジネスで採用するITベンダーが出てきた。沖縄のレキサス(比屋根隆社長)は、ニューロスカイの脳波センサとカメラを組み合わせて、ウェブページなどのユーザビリティテストに応用した「Lexues Neuro(レキサスニューロ)」サービスを開発。パソコンなどに内蔵する汎用的なカメラを用いて、ユーザーがどこを見たかを追跡するアイトラッキング機能を開発するとともに、ニューロスカイの脳波センサによって、ユーザーがウェブページのどこに注目し、どこに戸惑いやすいかなどを測定することが可能なサービスに仕上げた。
脳波の測定は、これまで頭部に複数のセンサを取りつける大がかりな装置が必要だったが、ニューロスカイでは、額(ひたい)と耳の2か所のセンサから得た脳波で、「集中度やリラックス度などがわかる独自のアルゴリズム」(ニューロスカイの伊藤菊男CEO)を開発。これによって簡易な仕組みで人の感情を測定できるようにした。レキサスはさらに一歩踏み込んで、汎用的なカメラによるアイトラッキングを組み合わせることで、ウェブページなどのユーザビリティ測定に応用。高価な機材を揃える必要がなく、1測定サービスあたり30万円程度からと、従来方式よりもコストを大幅に抑えることに成功している。
Lexues Neuroでは、被験者の頭部に脳波センサを取り付け、視線追跡用のカメラで撮影しながら(写真参照)、測定対象となるウェブページを閲覧してもらう。そして「注目度の高さ/低さ」「操作を戸惑いやすい箇所」「デザインの優位性のよさ/悪さ」「ページごとの視線遷移」「ページごとの視線の滞留度合い」などをウェブの運営者にレポートする。被験者に聞き取りを行うよりも、センサを使うことで「ユーザーの反応を無意識のレベルも含めて把握しやすくなる」(同社)という。レキサスは、ウェブのユーザーインターフェース(UI)の設計やデザイン、ウェブアプリケーションの開発などを手がけていて、ユーザビリティの検証サービスもあわせて提供することで、差異化を図る狙いをもっている。

ウェアラブルの脳波測定センサとカメラを組み合わせて、ユーザビリティなどを検証する「Lexues Neuro」 ウェブページなどの静的コンテンツだけでなく、動画やゲームでもLexues Neuroの手法は有効だ。例えばどのような脳波の状態のときに、どのシーンを見ていたか(プレーしていたか)を検証することで、ユーザーの集中具合や途中から飽きていないか、どういったシーンで飽きやすいのかがわかる。また、講義や授業などで受講者の集中力が維持できているかどうかを検証することで、講義などの内容や難易度が適正かどうかを評価するといったシーンにも応用できそうだ。(安藤章司)