コニカミノルタビジネスソリューションズ(和田幹二社長)は、複写機メーカーらしい方法でマイナンバー(社会保障・税番号)の「収集の仕組み」を提供している。企業などの事業所は、この10月以降、従業員とその扶養家族のマイナンバーを収集するわけだが、収集する際に番号が他人に見られたり、散逸しない措置が求められたりする。そこで同社では、できるだけ他人に番号が見られないようにするため、コニカミノルタ製の複合機のスキャナ機能を使って、企業のマイナンバー管理者に番号を届ける仕組みを開発した。
マイナンバーの収集では、情報漏えいを避けるために敢えて郵送(アナログ方式)を使うケースも少なくないなか、同社では複写機メーカーの強みを生かし、 複合機のスキャナ機能で、10月以降に各世帯に届けられる通知カードと免許証など本人確認書類を読み取り、暗号化されたデータとしてユーザー企業のマイナンバー管理者に届ける。同社では、スマートフォンによる番号収集の仕組みも用意しているが、複合機を使うほうがより一段とセキュリティ強度を高められる。

開発中の複合機の画面イメージ。「マイナンバー収集サービス」の専用アイコン(画面左下)を用意し、誰でも一目で分かるようにデザインしてある 複合機の操作画面には、「マイナンバー収集サービス」(開発中の画面イメージ参照)のアイコンを配置し、「誰でも一目で分かるようにデザインしている」(新野和幸・上席執行役員)。今回の同社の仕組みは、マイナンバーの「収集」にほぼ特化したわかりやすいサービスとなっている。
しかし、マイナンバーは番号だけ集めれば済むものではなく、かならず名前とセットで(少なくとも紐づけて)保管するのが一般的だ。企業側は自社の従業員の名前は分かっていても、扶養家族の名前までを正確に把握しているわけではない。このため複合機で番号を写し取ったあと、「パソコンの画面で扶養家族の分まで含めて、名前を入力する機能を盛り込んでいる」(藍 隆幸・ソリューション事業本部事業統括部担当部長)。
複合機は、確かにシンプルなインターフェースで使いやすいが、文字入力は苦手とするところ。そこで、「パソコンで名前や続柄などの情報を従業員本人に入力してもらう」(木村守宏・ソリューションエンジニアリング部担当部長)工程を挟むことで、番号と氏名・続柄の不一致を避け、企業のマイナンバー管理者の負担を軽減する方法を採用している。OCRで読み取ることも技術的には可能だが、100%の精度を担保できないことから、間違いが許されないマイナンバーの特性を考慮し、従業員本人による入力・確認工程を間に挟んで、万全を期す仕組みを用意した。(安藤章司)

左から藍 隆幸担当部長、新野和幸上席執行役員、木村守宏担当部長