提供開始から30周年を迎えた富士通のネットワークサービス「FENICS」は、もはや単体での価値を訴求していく段階にはない。クラウド、モバイル、ビッグデータ、IoT、AIといったキーワードに対応した富士通のデジタルビジネス・プラットフォーム「MetaArc」と一体で、クライアントのビジネス変革を支える。(本多和幸)

村田 亮
DC&ネットワークサービス推進部部長 第3世代のビジネスモデルにアップデートされたFENICSの、競合サービスに対する差異化ポイントは何なのか。村田亮・サービス&システムビジネス推進本部DC&ネットワークビジネス統括部DC&ネットワークサービス推進部部長は、「SoE(Systems of Engagement)を支える機能を備えている」ことだと説明する。
「モバイル、ソーシャル、IoTなどの要素を取り入れて顧客接点となるフロントシステムを構築し、ビジネスのあり方そのものを変革していこうというクライアントが増えている。もはやネットワークだけの提案では先細りになるのは目にみえていて、価格競争も厳しく、単体では収益も非常に上げづらい。SoEの新しいフロントシステムを支える技術を組み込んでいることが、FENICSの大きな武器になっている」。
具体的には、どんなことが可能になるのか、FENICSのビジネスWiーFiサービスを例にみてみよう。まず、リテール業界のクライアントの店舗に、WiーFi機器を導入するというのが、もっともプリミティブな従来型のサービスだ。説明するまでもないが、来店した顧客にインターネット環境を提供できるようになる。FENICSのビジネスWiーFiサービスはこれに加えて、店内のネットワークを利用したデバイスのロケーション管理機能も備えており、顧客の動線を分析することもできる。データにもとづいた分析に従って店内のレイアウトを工夫したり、特売やタイムセールをピンポイントで効果的なタイミングで通知するといった施策につなげることもできるわけだ。さらに、このロケーション管理の機能を、富士通のリテール業向け情報利活用ビジネスプラットフォーム「CHANNEL Value」や、他社のCRMなどと連携させ、ワン・トゥ・ワンの包括的なデジタルマーケティング施策にまで発展させることもできるという。