コンバージドインフラ製品を手がけるVCEが、EMC傘下の現体制となって初の戦略的な新製品として市場投入するのが、ハイパーコンバージド製品の「VCE VxRail Appliance(VxRail)」だ。3月の国内提供開始以来、多数の引き合いがあるという。VMwareの仮想化技術をスモールスタートで導入できるのが魅力だ。(日高 彰)

2U4ノードからスモールスタートできるハイパーコンバージド製品「VxRail」 サーバー、ネットワーク、ストレージ、仮想化ソフトウェアなどが検証済みのパッケージ製品となっており、電源オンですぐに仮想マシンを立ち上げられるコンバージドインフラストラクチャ。コンバージドインフラ市場で大きなシェアをもつVCEは、EMC、シスコシステムズ、VMwareの3社合弁で設立されたが、2014年にシスコが株式の大部分をEMCに譲渡したことから、現在はEMCグループにおけるコンバージドインフラ事業部門としての性格を強めている(シスコは現在もVCE株の約1割を保有している)。
EMC傘下の現体制となって初の大型製品として、3月に日本市場でも提供が始まったのがVxRailだ。VxRailは、コンバージドインフラ製品のなかでも、ハードウェアとしてx86サーバーを用い、ストレージなどの機能をソフトウェアで実現した「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」と呼ばれるカテゴリの製品だ。従来のコンバージドインフラに比べ圧倒的にシンプルで、リソースを拡張したいときには製品の台数を追加していくだけで済むため、まずは小規模構成で導入し、事業の成長や、仮想環境への移行にあわせてインフラの規模を拡大していく、“スモールスタート”を実現できるのがメリットだ。汎用のハードウェアを利用するため低コストで、ハイパーコンバージドという名の通り集約度が高くスペース効率も高い。
VxRailは2Uサイズに4ノードのサーバー/ストレージを搭載したきょう体を基本単位としており、最小構成価格は750万円。支社や工場・店舗といったリモート拠点、中堅・中小企業の既設ラックへの導入を主に想定しており、インフラの構築、運用に手厚い体制を充てられないユーザーにこそ適した製品として提案を図る。国内ではEMCジャパンのサポート網を通じて保守を提供する。
ハイパーコンバージドインフラ製品はいくつかのベンダーが手がけているが、そのなかでVxRailは、仮想化の基盤として大きなシェアをもつVMwareの技術と、ストレージ市場で実績のあるEMCのノウハウを統合していることを強みとしている。EMCジャパンのコンバージドプラットフォームディビジョンで、国内のVxRail事業を担当する小川高寛・ハイパーコンバージドアプライアンスリードは「多くのユーザーやパートナーが扱ってきたVMwareの技術をベースとしており、これまでのスキルやノウハウをそのまま生かせる」と説明。コンセプトや得られるメリットは新しいが、VxRailのために新たな技術を学ぶ必要がない点が大きなアドバンテージになると同社ではみている。
また、VxRailはあくまでVCEの製品だが、販売については新たにEMCのパートナー網を活用していくという点も新しいポイントだ。(つづく)