ロボット・ディストリビューション事業を手がけるDMM.comは、PwCコンサルティングと協業して、一般企業やテーマパーク向けの販路開拓に力を入れている。企業に向けてロボットを売るには、ユーザー企業のビジネスに役立つ仕掛けが不可欠だ。DMM.comは一般消費者向けでは多様な販売チャネルをもっているが、ロボット販売における企業向けチャネルはまだ弱い。そこで企業向けビジネスに精通するPwCコンサルティングと組むことで、コンシューマと企業の両方への拡販に取り組んでいる。(取材・文/安藤章司)
今年2月に両社は、Sansanの名刺管理や、マイクロソフトのDynamics CRM(顧客管理システム)、情報共有のOffice 365といった各種企業向けシステムとロボットを連携させて、企業内のコミュニケーションを活性化させる取り組みを発表。続く3月には、長崎県にあるテーマパーク「ハウステンボス」で、接客やエンタテインメント、場内案内などのサービスを担うロボットの実証実験を始めている。

DMM.comが取り扱っているロボット製品の一例
DMM.comは、複数メーカーのロボットを取り扱っているが、同社では「ハウステンボスをロボット実証実験の場と見立て、来場者と新作ロボットが触れ合える機会を創出していく」(岡本康広・ロボット事業部事業部長)と、ロボット製品の知名度アップや販売促進につなげていきたいとの考えを示している。
一方、PwCコンサルティングは、日本のハードウェア・スタートアップ企業を「近い将来、有力な顧客になり得る」(同社の水上晃ディレクター)とみており、ロボット・ディストリビュータのDMM.comとロボットを活用した企業向けビジネスや、さまざまな実証実験を通じて、ロボットを開発するスタートアップ企業のビジネスを成功に導けるようなノウハウをより一段と蓄積していく構えだ。
とはいえ、コミュニケーション・ロボットを、企業ビジネスにどう役立てられるかは未知数なところが多く、直近2回で触れた野村総合研究所(NRI)やシーエーシー(CAC)でも、まだ手探りの部分が多い。ただ、一つ言えるのはロボット単体では、よくてパソコンかスマートフォン程度の能力しかないため、クラウド上のバックエンド処理が実用化のカギを握る。ロボット部分の高性能化に傾注してしまうと単価が高くなり、逆に普及の足かせになってしまう。
ロボット・ディストリビューション事業でライバルのソフトバンクは、ロボットの「Pepper」だけでなく、日本IBMと共同で「Watson」の日本語化とマスターディストリビュータも担う。Watsonのエコシステム・パートナーでは、「Pepper&IBM Watsonアプリ開発」の項目を入れるなど、デバイスとしてのPepperと、頭脳としてのWatsonを組み合わせる動きを推進。対するDMM.comとPwCコンサルティング陣営も、頭脳に相当するAIとロボットの連携を加速させていくものとみられる。