本連載第14・15回(週刊BCN1608・1609号)で紹介したシュナイダーエレクトリックが、4月に新たなパートナープログラムを発表した。より多くのパートナーが充実した支援を受けられるようになるほか、メーカーとパートナーとの間で案件を密に共有するための登録制度を新設するのがポイントだ。(日高 彰)
日本市場においては、APCブランドで展開しているデータセンター向けの冷却・ラックシステム、UPS(無停電電源装置)などを主力としているシュナイダーエレクトリック。2015年は国内の小型UPS市場でトップシェアを獲得したほか、データセンター向けの製品でも前年同期比2ケタの成長を達成するなど、業績は好調に推移している。この勢いをさらに加速するため、4月から新たなパートナープログラムを導入する。

まず、従来「Registered」「Select」「Premier」「Elite」の4段階が設定されていたパートナーレベルを細分化する。同社は小規模オフィス向けのUPSからデータセンター向けのトータルソリューションまで幅広い製品を取り扱っているが、従来のプログラムで上位のパートナーレベルを獲得するには、パートナーにも広範なスキルや顧客との関係が求められていた。このため、例えば「SOHO市場」「空調機」といったある特定の市場や製品については高い専門性をもつが、他のカテゴリの製品は取り扱っていないというパートナーは、高いパートナーレベルに認定されるのが難しかった。
新プログラムでは、パートナーレベルのなかに「Business Networks」「SOHO」「Cooling」といったサブカテゴリを設置(表参照)。各分野に特化した強みをもつパートナーであれば、検証機の無償提供や共同マーケティングなど、上位レベルの支援を受けられるようにする。
加えて、PremierおよびEliteレベルのパートナーに対しては、新たに「案件登録プログラム」を提供する。これは、パートナーが発掘した販売案件をパートナーポータルサイトに登録することで、成約時の製品納入に関して特別な割引率を適用するもの。市場ニーズをシュナイダーとパートナーとの間で早期から共有し、製品や販売戦略に反映する。登録する案件は、例えば「この企業で2年後に投資計画がある」といった、これから商談の芽があるといった段階のものでかまわない。また、Premier/Eliteパートナーに対しては、シュナイダー側で獲得したリードの紹介も行っていく。
シュナイダーエレクトリックの松崎耕介・代表取締役は、「当社のIT事業では九十数パーセントがパートナー経由での販売。パートナープログラムをより使いやすくし、パートナー各社からみてもよりビジネスのしやすいベンダーになっていきたい」と述べ、販売チャネルとの関係を一層強固なものにしていく考えを強調した。