既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(8)「技術コンテスト」軸に開発体制構築
2016/08/25 16:04
週刊BCN 2016年08月22日vol.1641掲載
ソフトバンクは、社内で新技術をキャッチアップする取り組みの一環として、ブロックチェーンを活用した国際募金プラットフォームの研究開発を始めた。実際の開発は、オープンな「技術コンテスト形式」で行ったことも特筆すべきポイントだ。(取材・文/本多和幸)
ソフトバンクの国際募金プラットフォーム研究開発事業には、ブロックチェーン専門企業であるコンセンサス・ベイス、クラウドシステムの導入やエンタープライズ向けのクラウドソーシング事業を手がけるアピリオが協力している。アピリオの米本社が運営している協議プログラミングサイト「Topcoder」で技術コンテストを行い、その勝者の成果物を国際募金プラットフォームのプロトタイプとして採用した点が大きな特徴だ。具体的な協業スキームについて、ソフトバンクの坂口卓也・ITサービス開発本部BRM推進室担当課長は次のように説明する。
「技術コンテストが今回の開発の中心になった。プロジェクト全体のディレクションを行う当社が要求仕様を出し、すべての作業はTopcoder上のクラウドソーシングで行われた。コンセンサス・ベイスには、技術的な視点でのアドバイスをいただき、コントラクト仕様の作成に協力してもらった」。
技術コンテストは、UIのデザインからアプリケーションの開発、実装など、かなり細かくフェーズを分けて、約1週間単位で開催するかたちにしたという。坂口担当課長は、「短期間で高品質なプラットフォームを開発するには、プロトタイプ開発が終わるまで各応募者に高いモチベーションをもって開発に取り組んでもらう仕組みづくりが必須だったが、報酬設定などを含め、アピリオのノウハウでうまくコントロールできた」と振り返る。一方で、まだまだブロックチェーンの技術者が少ない現状をあらためて認識することにもなった。「本来は、各フェーズのコンテストで毎回違う人が勝つことを期待していたが、最終的に同じ応募者のみが毎回ドキュメントを出してくるような状況になった」(坂口担当課長)という。
具体的なサービスへの活用検討はこれから
国際募金プラットフォームのプロトタイプ開発は完了し、課題も抽出した。研究開発で得られた成果について、ソフトバンクは詳細を公表していないが、坂口担当課長は、「開発した国際募金プラットフォームをもとに何らかのサービスを立ち上げられるかというと、まだそこまでは至っていない。社内でテスト的な運用ができるかできないかのレベル。国際募金プラットフォームも、その気になれば既存のデータベースを使ってすぐにつくることができる。ブロックチェーンならではのスピード感や経済性など、メリットをどこで発揮できるのか、ある程度優位性と課題がみえた」と話す。最終的には、「汎用的なプラットフォームを目指したい」とのことで、今回開発したプロトタイプを活用したサービス立ち上げの可能性を模索していく。
ソフトバンクは、社内で新技術をキャッチアップする取り組みの一環として、ブロックチェーンを活用した国際募金プラットフォームの研究開発を始めた。実際の開発は、オープンな「技術コンテスト形式」で行ったことも特筆すべきポイントだ。(取材・文/本多和幸)
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