既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(19)ブロックチェーンの現状と課題、識者はどうみる (6)
2016/11/16 16:04
週刊BCN 2016年11月07日vol.1652掲載
GLOCOMシンポジウム・パネルディスカッションでのブロックチェーンに関する議論の後半では、日本からスタートアップの新しい成功モデルが発信できるのではないかというポジティブな意見も飛び出した。(取材・文/本多和幸)
現時点でのブロックチェーン関連案件は、当然ながらPoCがほとんどだ。日本IBMコグニティブ・ソリューション事業ブロックチェーンアーキテクトの高城勝信氏は、「ユースケースを探し出すのは非常に苦労している。上からやれと言われたので何か提案してというお客様が大半。業務の現場の人たちと一緒に考えていきながら、お客様のビジネスにブロックチェーンを役立てるプロセスを支援していきたい」と現状を話す。
一方、日本マイクロソフトの榊原彰CTOは、ブロックチェーンがFinTechの文脈で語られているうちは、なかなか浸透していかないとの見解を示した。「金融の世界がブロックチェーンですごく効率化されたとかいわれても、飛び道具的な感じがしてしまう。一方、製造業というのは産業構造の層が深いし関わっている人がすごく多くて、いろいろなところがバリューチェーンでつながっている。製造業がブロックチェーンを採用して業務のモデルが変わったということになると、われわれの社会が変わったという実感が出てくるのではないかと思う」と持論を述べた。
新しいものを生み出す場は日本にもある
ヤフーCISO Boardの楠正憲氏は、ブロックチェーンが「(過去のITのイノベーションのように)シリコンバレーだけのエコシステムではないのがおもしろいところ」だとコメント。「東京は世界で最も大きな都市圏として非常に魅力がある街で、ビットコインのコアデベロッパーなどもかなり集まってきている状況がある。失敗を繰り返しながら新しいものを生むチャンスは増えているのではないか」と、日本のプレゼンス向上にも期待を寄せた。
これを受け、MITメディアラボ研究員の松尾真一郎氏は、「シリコンバレーは“フェイル・ファースト”の文化で、どんどん失敗してそのなかからうまくいくものを伸ばしていけばいいというやり方だが、the Dao事件で明らかなように、ブロックチェーンはそういうモデルがうまくいく性質のものではない」と指摘。「日本には重厚長大なシステムをきっちりつくり上げるためのノウハウも人材も豊富。精密にものをつくるのは米国よりも遙かにすぐれいている。そういう人材と日本にいるビットコインのコアデベロッパーたちの力をうまく融合させることで、フェイル・ファーストとは違う新しいイノベーションのモデルをつくることができるのではないか」と、日本発のスタートアップの成功モデル構築をブロックチェーンが後押しする可能性を示唆した。
GLOCOMシンポジウム・パネルディスカッションでのブロックチェーンに関する議論の後半では、日本からスタートアップの新しい成功モデルが発信できるのではないかというポジティブな意見も飛び出した。(取材・文/本多和幸)
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料)
ログイン
週刊BCNについて詳しく見る
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。
- 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…