IT業界はまさにAIブーム。今回は、「人工脳SOINN(ソイン)」と呼ぶ独自の人工知能技術を研究開発する東京工業大学発のベンチャー、SOINNの長谷川修代表取締役に話を聞きました。同社の「SOINN」は、一般的な人工知能とはまた違った特徴があるようです。
どんな会社なの?
長谷川修
代表取締役「人工脳SOINN」を開発する東工大発のベンチャーです。
東京工業大学の准教授である長谷川代表取締役の研究室では、人工知能や画像処理の研究を行っています。SOINNでは、同研究室で開発した「人工脳SOINN」を提供しています。
一般的な“人工知能”と何が違うの?学習することによって、自ら成長していきます。
「学習型汎用人工知能」と銘打つ人工脳SOINNでは、与えられたテキストや画像、音声といったあらゆるデータを複合的に分析することができます。特徴的なのが、得た情報を自身で学習し、成長していくこと。SOINNはアルゴリズムのため、人の手によるプログラミングを必要としません。人間のように、与えられた情報を経験として蓄積して、予測・分類することができます。また、ノイズらしき情報は自分ではじくことも可能です。
「基本的には、日々のデータを入れることでだんだん賢くなっていく。新人をトレーニングするように、指示することで次第にできるようになる」と話す長谷川代表取締役。「(SOINNは)自分で状況の変化に対応するので、想定外の事象にも対応できる。また、自分で変化していくためプログラムし直すなどの作業が必要なく、導入後のメンテナンスコストはほぼ必要ない。こうした自己成長型の人工知能は世界的にみても、他にないでしょう」と断言しています。
今後取り組むことは?自社製品の開発や、海外展開を目指します。
人工脳SOINNはさまざまな業界から引く手あまたで、現在はビル内や複数拠点における最適な温度管理や医療、災害予測、ドローンなどで実用化されているそうです。ビジネスとしては、「まずはいただいた案件に取り組み、信頼を獲得していくことに力点を置いている」(長谷川代表取締役)といいます。並行してSOINNの技術に磨きをかけつつ、自社製品(パッケージ)の開発提供にも取り組んでいくようです。そのうえで、いずれはSOINNを海外で展開することを目指しています。
よろしくSOINN
SOINNが自分で学習するとはどういうことなのか。取材時には、ボールを掴めなかったロボットがその経験を学習し、自分の手でボールを掴めるようになるところや、ドローンが物理的な妨害を受けても正常な飛行状態を覚えていることで、一定の場所で飛行し続けられているようすを映した動画をみせていただきました。人間のように自分で学習するSOINNには、従来の人工知能より手間やコストがかからず、さらに高次元のことを実行できる可能性を感じます。SOINNは「人工脳SOINN」でイッポ前へ!