FinTechから生まれた革新的な技術という文脈で語れることの多いブロックチェーンだが、その用途は金融分野にとどまらないからこそ、大きな注目を集めているのも事実。金融以外での活用方法を模索する動きが、ユーザー側から出てきている。(本多和幸)
オフィシャルサイト制作やファンクラブ運営、ECサイト構築・運用、チケット販売、イベント開催など、アーティスト、クリエイターの活動支援サービスを手がけるSKIYAKI(宮瀬卓也代表取締役)は、ITを活用したソリューションを積極的に開発・提供している。
最近市場投入したサービスとしては、ワンタイムQRコード認証とSMS認証を利用した電子チケットサービス「SKIYAKI TICKET」がある。QRコードは専用のリーダーアプリでのみ読み取り可能なもので、30秒ごとに更新されるためスクリーンショットによる譲渡などの不正利用を防止できる。また、購入・発券時にはSMS認証による端末登録とアプリからのログイン認証が必要で、端末を物理的に譲渡しない限り転売できない仕組みになっている。サービスを導入したイベントの主催者側も、QRコードのリーダーアプリをイベント当日までに用意すればいいという手軽さが売りだ。

SKIYAKI
土居真也氏 同社事業企画室エンジニアの土居真也氏は、「音楽業界全体の動きとして、CDが売れなくなっており、ファンクラブ/ファンサイト、EC、チケット販売が、アーティストの活動を支えるプラットフォームに必要な機能だと考えている。7月にSKIYAKI TICKETをリリースし、当社が三種の神器と呼んでいる三つの機能がようやく出そろった。前々から、人気のチケットが不当に高額な値段で取引されるダフ屋行為が問題になっていて、何かしらの対策が必要な状況が続いていた。それに根本的に立ち向かっていくというコンセプトで、ITを駆使したソリューションを開発した」と説明する。
BCCに加入しブロックチェーン大学校も活用
同社が特徴的なのは、ブロックチェーンについてもいち早く注目し、自社のソリューションに活用するための検討を始めているところだ。ブロックチェーン推進協会(BCCC)に加入するとともに、BCCCが主催するブロックチェーン大学校にもエンジニアを派遣し、技術者育成に取り組むなど、準備を着々と進めている。
次号では、SKIYAKIが具体的にブロックチェーンにどんな可能性を見出し、どんな活用方法を構想しているのかを紹介する。