売り上げは上がっているが利益が増えないという話をよく聞く。どこに問題があるのか、どう対処すればいいのか。
1.「お客様から依頼される仕事への関心」ではなく「お客様への関心」へ お客様からの要望に確実に応えているだけでは、これまで依頼した仕事の範囲でしか期待してくれなくなる。このような関係が続くと、この会社の全体がみえなくなる。ならば、お客様から依頼される仕事を待つのではなく、仕事そのものをお客様と一緒になって創ること。そのためには、お客様の経営や事業戦略など、システム需要を生み出す本来の要因に着目することだ。
2.「自分たちに何ができるか」ではなく、「お客様は何がしてほしいか」へ
お客様は自分の課題を解決したい。それに応えるためには、お客様の困っていることやしてほしいことを追求すること。「自分にできること」だけに絞って、お客様が提供してくれる案件の獲得に全力を尽くしていては、競合の渦中に自ら飛び込むようなもの。むしろ競合をコントロールする立場に立ち、ビジネスの主導権を握るには、お客様の「してほしい」の視点から提案することだ。
3.「一般論としての強み」ではなく、「自分たちならではの強み」へ
「何でもやります、できます」は裏を返せば「これといった強みがありません」ということ。有り余る需要があれば、それもまた強みといえたが、もはやそんな時代ではない。大手と同様の商品力や技術力をもつことは難しい。ならば彼らとは異なる視点で、自分たちにしかできない強みを考える。一つは、お客様のシステムや業務の現場を理解しているという強みだ。現場にいるからこそ「困った」や「してほしいこと」を実感できる。これを整理して提示すれば、お客様は助かるはずだ。そして、その解決策を提示する。そのとき、自分たちにできるかどうかは考えない。まずは理想の結果、つまり「あるべき姿」を示す。その内容をお客様と合意し、次に自分たちができることを示す、できないことは他社を紹介すればいい。
IoTやAIなど、流行に飛びつくばかりが最善策ではない。むしろ、いま関わっているお客様という財産を改めて深掘りし、自らの「強み」を再発見してみてはどうだろう。
ネットコマース 代表取締役CEO 斎藤昌義

斎藤 昌義(さいとう まさのり)
1958年生まれ。日本IBMで営業を担当した後、コンサルティングサービスのネットコマースを設立して代表取締役に就任。ユーザー企業には適切なITソリューションの選び方を提案し、ITベンダーには効果的な営業手法などをトレーニングするサービスを提供する。