銀行間取引の決済における起動プロセスである「ペイメント」にブロックチェーンを適用したブロックチェーン研究会の実証実験。今回は、構築した実験環境の概要と実装した主要機能をみていく。(取材・文/本多和幸)
振込主体の銀行は「アプリノード」を担う
具体的な実験環境としては、ブロックチェーン環境に参加するノードを、役割に応じて二つに分けて構築した。「二つ」とは、トランザクションを生成するアプリノードと、トランザクションを承認してブロックを生成するコアノードだ。銀行は振込みを行う主体としてアプリノードを担い、コアノードは信頼できる中立的な機関が担うと想定している(図参照)。
実証実験のために構築したこのシステムでは、簡易的な振込業務を行うために必要な機能を実装した。仕組みをより細かくみると、仕向銀行のアプリノードが、顧客口座、仕向け・被仕向銀行の振込情報、EDI情報を設定したトランザクションを生成し、これをコアノードに送付する。トランザクションを受け取ったコアノードは、二重払いや残高不足などのチェックを行った後、複数のコアノード間で合意形成して、ブロックを生成する。生成したブロックの情報は、すべてのノードで共有することになる。当日振込、先日付振込の両方に対応させ、アプリノードが自行に関連する振込情報やEDI情報を参照できるような機能も備えた。