事業構想大学院大学 特任教授 渡邊信彦
略歴
渡邊 信彦(わたなべ のぶひこ)

1968年生まれ。電通国際情報サービスにてネットバンキング、オンライントレーディングシステムの構築に多数携わる。2006年、同社執行役員就任。経営企画室長を経て11年、オープンイノベーション研究所設立、所長就任。現在は、Psychic VR Lab 取締役COO、事業構想大学院大学特任教授、地方創生音楽プロジェクトone+nation Founderなどを務める。
最近スマートフォンの次は?という問いかけをいただくことが多い。20年前にインターネット、10年前にスマートフォンが変えた大きな変革の次は何?という答え探しが始まっているのだ。スマートフォンが登場した当時、多くの人はこの小さな機械が、人間の能力の一部を代替し、生活の一部となるとは想像していなかった。つまり10年後振り返ったときには、誰も想像がつかないものが登場し生活を一変させている可能性があるのだ。
バーチャルリアリティ(VR)がそれであるという意見を多く聞く。しかしVRと聞くと360度映像をヘッドマウントディスプレイでみる今のVRを思い浮かべてしまいがち。VRの巻き起こす変革はそう単純なものではない。もっと根本的な問題点から考えてみるべきである。
パソコンのキーボードやスマートフォンの入力インターフェースは正直使いにくい。通常人間は話す、聞く、ジェスチャーをすることでインプットとアウトプットを行っているが、電子媒体へは入力インターフェースを介すからだ。VRをユーザーインターフェースのイノベーションと捉えたら、どうだろうか。決して360度の立体映像をVRと呼ぶのではない。
ユーザーインターフェースの未来はどこを目指すのか?人間の目で見える世界をリアルに表現し、音、におい、触感が伴えばその空間はもう一つの生活空間として機能するかもしれない。物質として存在しなければならない体験はリアルな世界でこなし、鑑賞や調査などは体験コストの安い別の空間で体験するというわけだ。2次元映像に加えて、空間を配信できるようになることで、リアルな体験へのアプローチは大きく変わり、仕事の仕方やもの事の価値判断も変化していくこととなる。
現在、スマートフォンによって紙の地図はオンラインに変わり、待ち合わせは時間と場所を共有するだけで、後は会ってから検索して決めるようになった。次の時代は検索さえ無くなるだろう。もちろんヘッドマウントディスプレイのような大きなデバイスが一般化することはなく、もっと小さくもっと常備できる未来のデバイスが登場することとなる。そのイノベーションがもたらすビジネスの覇者は誰なのか?すでに戦いは始まっているのだ。この大きなチャンスと危機に乗り遅れないようにしたい。
事業構想大学院大学 特任教授 渡邊信彦
略歴
渡邊 信彦(わたなべ のぶひこ)

1968年生まれ。電通国際情報サービスにてネットバンキング、オンライントレーディングシステムの構築に多数携わる。2006年、同社執行役員就任。経営企画室長を経て11年、オープンイノベーション研究所設立、所長就任。現在は、Psychic VR Lab 取締役COO、事業構想大学院大学特任教授、地方創生音楽プロジェクトone+nation Founderなどを務める。