既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(27)三大メガバンクが銀行間振り込みで実証実験(5)
2017/01/25 09:00
ブロックチェーン研究会の実証実験報告書では、銀行間振込業務にブロックチェーン技術を活用することで、従来システム比でコストを削減できる可能性を確認したとしている。コスト削減効果の内訳をみてみよう。(取材・文/本多和幸)
システムのイニシャルコストについては、アプリケーション開発費、ソフトウェア購入費(ミドルウェア、OS)、ハードウェア購入費に分けて評価している。
いずれもコスト削減のポイントが抽出されたとしているが、まずはハードウェア購入費の評価から紹介する。ブロックチェーン技術はその特性上、冗長化構成やバックアップセンタの設置などの措置がなくても高稼働率が期待できるほか、「一つのシステムで集中的に処理を行う従来技術に対して、複数システムで分散的に処理を行うため、ハードウェアの低スペック化が期待できる」という。
ソフトウェア購入費にもこの効果は波及し、「ハードウェアの低スペック化に伴いCPU・コア数が削減されるため、ソフトウェアのライセンス数の削減も期待できる」としている。
一方、アプリケーション開発費については、コスト削減の可能性は認めつつも、システム全体からみたコスト削減効果としては限定的な範囲にとどまる可能性を示唆している。「従来技術ではアプリケーション開発が必要となる振込指図データのチェック・編集等の機能を、ブロックチェーン技術はミドルウェア(ブロックチェーン・プラットフォーム)のなかで実現しており、構築が必要な機能数の削減が期待できる」ということだが、それ以外に構築が必要な機能が多数存在するため、振込指図データのチェック・編集機能の開発を省略できても、全体の工数はそれほど削減できないのだ。
ハードの低スペック化とソフト購入費の削減効果
ここまでみてきたように、報告書では、ブロックチェーンの銀行間振込業務への適用について、従来システム比でのコスト削減と実運用に耐え得る性能を同時に実現できる可能性を示したといえよう。ただし、当然ながらそこには課題もあり、継続的な検討が不可欠であることも強調している。
まず、実運用上は、アプリノードとコアノードによる資金移動が発生する前後で銀行の勘定系システムとの連携が必要になる。さらに、資金移動したという情報は、全銀システムに送らなければならない。こうした既存のシステムとの連携は今回の検証の対象となっていないため、「決済システム全体としての業務実現性を検証していく必要がある」という。
また、目指すべきサービス稼働率の設定とそれを実現するためのコアノード数の明確化、コアノードの分散配置によるDR対策の検討、コアノードだけでなくアプリノード側の処理時間も含めた処理性能の検証、セキュリティ対策などの必要性も指摘している。
ブロックチェーン研究会の実証実験報告書では、銀行間振込業務にブロックチェーン技術を活用することで、従来システム比でコストを削減できる可能性を確認したとしている。コスト削減効果の内訳をみてみよう。(取材・文/本多和幸)
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