サン・プラニング・システムズ(SPS)は、成長に向けた戦略的な経営施策を打っている。成長の柱は(1)業務プロセス管理(BPM)と(2)健康診断システム、(3)システム構築(SI)の三つで、それぞれがバランスよく売上比率を配分。特定の事業部門に収益が偏りすぎないように配慮しながら、「自社の強みを存分に生かしたビジネスを展開する」(白羽毅社長)ことで競争力を高めているのだ。(取材・文/安藤章司)
Company Data
会社名 サン・プラニング・システムズ
所在地 東京都中央区新川
資本金 2億円
設立 1980年1月
従業員数 約110人
事業概要 サン・プラニング・システムズ(SPS)は、業務プロセス可視化ツール「iGrafx」を活用したBPM(業務プロセス管理)や、健診センター向けの健康診断システムで実績多数。基幹業務システムの構築では、有力小売店や食品メーカーなどの優良顧客をもつ。東京都情報産業協会(IIT)加盟社。
URL:http://www.sunplanning.co.jp/
成長につながる基盤を構築
白羽社長は2015年1月にSPSの社長に就任。同時に3か年中期経営計画をスタートし、「飛躍的成長」と「組織的経営」の二つを掲げて経営の舵を取ってきた。今年度(2017年12月期)は中期経営計画の最終年度にあたり、「売り上げを飛躍的に伸ばせるかは終わってみないとわからないが、少なくとも飛躍的成長につながる基盤は過去2年で構築できた。また、若手管理者が育ち、成長を持続的に実現し得る組織的経営も定着してきた」と手応えを感じている。その基盤となるのが冒頭の三つの事業の柱である。
BPMで2000社の顧客を開拓
白羽 毅
代表取締役社長
収益の柱の一つであるBPMでは、米iGrafx社(アイグラフィックス)のBPMソリューション「iGrafx」をベースに、日本国内のニーズを取り入れたかたちで、同社独自の導入コンサルティングやアドオンソフトを開発し、国内ユーザー向けにサービスを提供している。
SPSは1999年からiGrafxの国内販売を手がけており、06年以降、内部統制の強化(日本版SOX法対応)の流れに乗るかたちで販売数が大きく伸長した。国内企業の2000社(うち、上場企業の800社)に対し、4万ライセンスを納入してきた実績がある。最近では、リスクマネジメントだけでなく、業務の標準化やコスト削減、シェアード化、システム刷新など、さまざまな目的でiGrafxが採用されており、「業務 プロセスを可視化する本来の用途での採用が増えている」(白羽社長)と、利用ユーザーの幅の広がりが顕著にみられるという。
iGrafxの強みは業務プロセスの可視化だけにとどまらない。企業全体の経営資源を見える化し、全社レベルの業務の透明化を図ることが可能で、全体最適による改善アプローチを行う情報基盤になっている。また、タスク単位の細かなKPI(カギとなる指標)を設定し、新たな経営施策や改善施策を次々と事前にシミュレーションする。さらに基幹システムの実データと連携することで、業務状況をモニタリングし、継続的な業務改革プラットフォームとなる点が真のiGrafxの強みといえる。
健診システムのすそ野広げる
二つめの柱である総合健診システムは、大規模な健診機関向けを得意としており、「施設健診」「巡回健診」「ネットワーク健診」「健診データ処理」といった健診の主要ビジネスモデルを統合化して、健診業務の全体最適化を実現するシステムとして成長を重ねてきた。こうした取り組みが効を奏し、ここ数年は大型案件の受注につながっている。
今後は、中小規模の健診機関でも導入できるよう、同社が独自に開発してきた総合健診システム「SUMMITS II(サミッツツー)」を一段と改良・進化させた。カスタマイズを極力抑え、短納期、低コストで納入できるようにすることでビジネスのすそ野を広げていく予定だ。
SAPやintra-martにも強み
三つめの柱のSIは、大手小売店や食品メーカーなど優良顧客を多数擁しており、顧客に密着して情報システムの開発や運用を担っている。SIの基本は「顧客以上に顧客の情報システムに精通すること」(白羽社長)であり、基幹業務システムのSAPやユーザーが愛用しているシステム共通基盤のIntra-mart(イントラマート)に強みをもつ。顧客への密着を重視するSPSのSIサービスは、売り上げを大きく伸ばすよりも、むしろ同社の収益を底支えするとともに、先進的なユーザー企業と協業するかたちで、次世代の情報システムの構築手法を習得するなどの重要な役割を担っている。
ポイントは、三つの事業の柱をバランスよく成長させていく点にある。白羽社長が経営計画で掲げる「飛躍的成長」につなげるためには、ただ大型案件を追い求めるのではなく、限られた経営リソースのなかで最大限の成長につなげる「組織的経営」の手法が欠かせない。iGrafxや健診システム、SAP/intra-martを活用したSIといった強みを生かす組織的かつ戦略的な経営を実践することで成長に結びつけていく方針だ。