ブラザー販売がコンシューマ向けプリンタでクラウドストレージとの連携を始めて5年。クラウドの利用者がビジネスへ拡大するとともに、ビジネス向けプリンタのクラウド連携を強化。コンシューマで培ったユーザビリティがSOHO市場で強みになる。
野村和史 マーケティング推進部
商品企画G ソリューションプロダクトTマネージャー
クラウドストレージサービスはコンシューマ市場から始まった。サービスメーカーはまず無料で提供し、ユーザー数を増やしながらビジネス市場へ拡大。いまや、サーバーの代わりにクラウドストレージを運用している企業もある。ブラザー販売もビジネス向けプリンタのクラウド連携を強化。現在販売しているほぼすべての機種に無線/有線LANを備え、ネットワークに対応させた。
利用ユーザーの多いクラウドサービスへの対応も早かった。コンシューマ市場で人気のEvernote、Dropboxにいち早く対応。プリンタメーカーが相次いで連携を始めたBoxも、2015年12月から「Business edition」「Enterprise edition」に対応している。今後も連携するクラウドサービスを増やす予定だ。
もう一つ、ブラザーの強みとなるのが導入のしやすさだ。現在、メインターゲットとしているSOHOでは、大企業のようにシステム管理者がいないことがほとんど。また、家電量販店や直販サイトなどで購入し、ユーザー自身が設置、設定することが多く、クラウド連携の設定が難しいと導入できない。
ブラザーは、コンシューマで培ったわかりやすいユーザビリティを採用。インターネットにつながったPC、タブレット端末、スマートフォンから簡単に設定できるようにした。具体的にはブラザーのクラウド接続機能ページで、プリンタと連携したいサービスを設定し、ログインする。その際、仮登録IDが自動で発行され、そのIDを入力することで機器とサービスの紐づけが完了する。ユーザー自身が簡単に初期設定ができるうえ、初期設定を代行してくれるリセラーもあり、導入のハードルは低い。
クラウド連携自体は、ほかのプリンタメーカーと大きく変わらない。しかし、マーケティング推進部商品企画G ソリューションプロダクトTの野村和史マネージャーは、「10万円前後の、小型モデルからクラウド活用を導入できるのがブラザーの強みだ」と話す。今後、大企業だけではなく、中小企業、SOHOとクラウド化の波がやってくる。在宅ワークやテレワークも増えていく。「SOHOの市場では小型でクラウド連携ができるモデルが強み。今後はさらにブラザーの強みを整理しながら展開していく」と野村マネージャーは語る。
<プリンタ×クラウド>第8回 ブラザー販売(下)小規模企業に適したクラウド連携