ブロックチェーン推進協会(代表理事:平野洋一郎・インフォテリア社長、BCCC)は4月10日、ブロックチェーンにより実装された、日本円と為替連動する仮想通貨「Zen」の社会実験を開始すると発表した。(取材・文/本多和幸)
平野洋一郎
代表理事
Zenは、「Yen(円)」の一歩先を行く仮想通貨という意味で名付けられたという。BCCCは、Zenについて、「従来の仮想通貨のようにインターネット上で取引を行うことができ、かつ、日本円と高い為替連動性を保持するものとして利用することができる仮想通貨となることを企図した」と説明している。
そもそも、なぜ「日本円と高為替連動性を保持」した仮想通貨が必要なのだろうか。BCCCの平野代表理事は、Zenの社会実験を行う意義を、次のように語る。
「さまざまな仮想通貨がこれまでにつくられ、流通してきたが、各国の法定通貨に対する為替の変動が非常に激しく、企業の実ビジネスの決済に使用するにはリスクが高く、企業活動の領域では仮想通貨が普及してこなかった。世界最大の流通量を誇るビットコインでもそれは同じだ。Zenの社会実験は、法定通貨との為替変動が大きすぎる仮想通貨の課題を解決しようというのがコンセプト。端的にいうと、対日本円為替レートが安定的に推移し、企業で使える仮想通貨をつくろうということ」。
実ビジネスで使える 仮想通貨をつくることができるか
社会実験は、まず今年9月末までを第1フェーズとして、BCCC会員限定で参加者を募って行う。インフォテリアを事務局として、BCCCがZenの発行者となり、仮想通貨の取引所ビジネスを手がけているBCCC会員が、Zenの発行業務を受託するとともに、Zenの取引所機能も担う。現時点で、BCCCの副代表理事企業でもあるテックビューロ、カレンシーポートがこれを担当することは決まっている。
また、第1フェーズでは、Zenはプライベートブロックチェーン上に実装され、この社会実験への参加を表明したBCCC会員は、自社の製品やサービスをZen建てで値づけをして取引ができる。ただし、当然ながらZenの流通範囲は、この社会実験に参加したBCCC会員のネットワーク内に限られる。平野代表理事によれば、「この社会実験への参加を目的として、BCCCに入会したいという引き合いもかなり多くいただいている。4月10日現在で138社が参加しており、参加者数はさらに加速度的に増えそう」とのことだ。
第2フェーズでは、第1フェーズの結果を踏まえて必要な改善を行ったうえで、BCCC会員以外も参加できるかたちで、実証実験の範囲を拡大していく。
次回は、Zenの仕組みについて触れる。