オフィスコンピュータ

　企業の事務処理向けに設計されたコンピュータの名称。「オフコン」と略す。1960年代に誕生し、PCが普及する90年代まで、多くの企業が導入していた。

　オフィスコンピュータは、企業の事務処理の効率化を目的に開発された。初期の頃は、伝票の発行など会計処理の領域で使われていた。70年代には、法律で「オフィスコンピュータ」という名称が定められた。

　日本独自のコンピュータとして生み出され、国内のニーズに合わせて発展した。戦後の高度経済成長を大きく支える役割を果たしたと考えられている。

　オフィスコンピュータのルーツは、カシオが61年に発表した「TUCコンピュライタ」。東芝と内田洋行が販売を担ったため、三社の社名から「TUC」（タック）と命名された。

　NECやシャープ、ウノケ電子工業（現PFU）をはじめ、国内メーカーが続々と製品を発表し、開発競争は激化。CPUやメモリ、記憶装置の大容量化などが進み、性能は飛躍的に向上した。

　80年代に全盛期を迎えたが、90年代に入ると、状況は一変した。Windowsを搭載した低価格のPCが登場。インターネットの発展とともに普及。企業ではPCサーバーの導入が急速に拡大した。

　現在、オフィスコンピュータは、「ビジネスサーバー」とも呼ばれている。PCサーバーと比べてセキュリティにすぐれていることなどから、基幹業務の領域では、今もオフィスコンピュータが使われている。

メインフレーム

　大企業の基幹業務などで使われる大型のコンピュータ。日本語では「汎用機」などと訳される。企業システムのオープン化が進み、市場は縮小傾向になっている。

　メインフレームの先駆けとなったのは、1950年米国レミントンランド（現米ユニシス）が発売した世界初の商用コンピュータ「UNIVAC-I」（ユニバック）だ。

　メインフレームは、大量のデータが処理できるほか、大規模な組織での使用に必要なセキュリティ機能を備えているのが特徴だ。ただ、大型のコンピュータ全体を指す用語として使われているため、明確な定義はないと考えられている。

　市場では、米IBMが64年に「System／360」を発売したことをきっかけに、最も大きなシェアを獲得した。米国では、ほかのメーカー7社を圧倒していたことから、「IBMと7人の小人」などといわれていた。

　日本では、国産コンピュータの産業化が国策として進められたため、富士通などの国内メーカーが台頭。世界の市場とは逆に、IBMの影響力は及ばなかった。

　最近では、企業システムの過剰なオープン化を懸念し、メインフレームの信頼性の高さが再評価される動きもある。しかし、電子情報技術産業協会（JEITA）の統計では、国内の出荷金額は、15年には約440億円で、94年の約1兆1000億円から大きく落ち込んでいる。
　国内メーカーの動向では、日立製作所が5月、メインフレームの開発から撤退し、IBMの機器を使って事業を続けることを発表した。