既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(56)食品サプライチェーンへの活用検討も本格化
2017/09/13 09:00
週刊BCN 2017年09月04日vol.1692掲載
米IBMは8月22日、食品の安全性を確保するために、グローバルなサプライチェーンへのブロックチェーン活用を検討すべく、大手食品製造、流通、小売業者らとコンソーシアムを結成すると発表した。(取材・文/本多和幸)
コンソーシアムに参加するのは、IBMのほか、スイスの食品・飲料メーカーであるネスレ、食肉加工品メーカーの米タイソン・フーズ、果物・野菜の生産販売を手がける米ドール、米ドリスコール、小売り大手の米ウォルマート、米クローガーといった企業だ。
IBMは、「毎年、汚染された食品が原因で、10人に1人が病気を患い、40万人が亡くなっている」と指摘。食品の汚染をはじめ、こうした問題を引き起こす問題の多くは、サプライチェーンにおけるトレーサビリティが十分に確保されていないため、早期の解決が困難で、被害が拡大してしまうことも少なくないという。
同コンソーシアムは、こうした課題を、ブロックチェーンを使って解決しようとしている。農家、サプライヤー、加工業者、流通業者、小売業者、規制当局、消費者といったグローバルな食品サプライチェーンのステークホルダーすべてが、それぞれのプロセスにおける信頼できる情報を共有できる環境をブロックチェーン上につくり、そのメリットを実証したい考えだ。結果として、「食品の提供者やその他のエコシステムの参画者は、ブロックチェーン・ネットワークを利用し、短時間で汚染された製品を追跡して発生源を突き止め、店頭から確実に除去し、病気の拡散を食い止めることが可能になる」としている。
IBMと大手食品メーカー、
小売企業などがコンソーシアム
コンソーシアムのプロジェクトで採用されるブロックチェーン技術は、もちろん、IBMが開発を主導したハイパーレジャー・ファブリックだ。すでに同社は、この技術をコアに、クラウド上でエンタープライズ向けブロックチェーンプラットフォームの提供も開始している。
IBMとウォルマートは、コンソーシアムの活動に先立ち、中国と米国で、IBMのブロックチェーン技術を活用して、「農場から小売り現場の商品棚に至るまで」を、サプライチェーンのすべてのプロセスを秒単位で追跡できることを実証したという。さらに、「サプライチェーン全体のすべてのステークホルダーが、食品の安全性を担保するためのシステムを協力して構築したいと望んでいることもわかった」としている。
コンソーシアム発足にあたって出された参加各社からのエンドースメントでも、「食品小売り、食品製造を問わず、食品の安全は競争上の優位性ではなく、普遍的な優先事項」であるとの認識のもと、各社の知見を集めてソリューション構築に取り組む姿勢を示した。また、ブロックチェーン技術については、「グローバルな食品システムにおけるエンド・トゥ・エンドの透明性を実現できる」新技術として、期待を寄せている。
米IBMは8月22日、食品の安全性を確保するために、グローバルなサプライチェーンへのブロックチェーン活用を検討すべく、大手食品製造、流通、小売業者らとコンソーシアムを結成すると発表した。(取材・文/本多和幸)
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