既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(57)仮想地域通貨で地方創生に貢献
2017/09/20 09:00
週刊BCN 2017年09月11日vol.1693掲載
地方創生の観点からも、ブロックチェーンへの期待は高まっている。ブロックチェーン技術を活用した地域通貨を発行し、地方経済の活性化につなげようという試みが目立つようになってきている。(2面に関連記事)(取材・文/本多和幸)
国内を代表するブロックチェーン・スタートアップであるカレンシーポートの杉井靖典代表取締役CEOは、かつて週刊BCNの取材に対して、「ブロックチェーンの特性は突き詰めると貨幣機能と監査証跡機能の二つだけ。逆にいうと、貨幣と監査の機能をデータベースに追加する技術がブロックチェーン」だと指摘した。
地域通貨へのブロックチェーン活用は、まさにそうした特性を存分に生かした事例といえよう。
紙媒体への印刷などが必要だった過去の地域通貨の取り組みと比べると、地域限定で流通させる仮想通貨をはるかに安価なコストで発行、流通させることができる可能性があるし、仮想通貨の流れをつぶさにトレースし、ビッグデータとして活用していくこともできそうだ。
直近の事例では、近鉄グループホールディングスと三菱総合研究所(MRI)が、9月1日、ブロックチェーンを活用した仮想地域通貨「近鉄ハルカスコイン」の社会実験を日本一の高層ビルとして知られる「あべのハルカス」でスタートさせた。
この社会実験は、地方創生に貢献できる仮想地域通貨発行のプラットフォーム構築と、その社会実装に向けた技術検証や課題抽出を行うことが目的だ。
将来的には、近鉄グループが仮想地域通貨の発行機能、さらには他の仮想通貨や円との交換取引機能をもち、地方自治体や他企業とも連携しながら近鉄沿線で仮想地域通貨ビジネスを展開していく構想だとしている。これにより、近鉄グループのビジネス拡大はもちろん、沿線地域の活性化モデルをつくりあげたい考えだ。
大阪・あべのハルカスで
社会実験がスタート
一方、MRIとしては、近鉄グループとの協業で得た知見を、近鉄沿線以外の地域や自治体にも水平展開し、ブロックチェーン関連ビジネスの成長を目指す。
社会実験の実施期間は、9月1日から1か月間で、実験参加者は、ウェブ上で近鉄グループのKIPSカード会員から希望者を募り、抽選で5000人を選ぶ。現金5000円に対して、1コイン=1円相当で1万コインを発行し、近鉄百貨店あべのハルカス近鉄本店(約200店舗が入居)、展望台「ハルカス300」入場券と展望台内店舗などで使用できるようにする。
なお、今後、近鉄ハルカスコインを使った新しいサービスの提供を検討していく際は、三菱東京UFJ銀行も協力する方針だ。
地方創生の観点からも、ブロックチェーンへの期待は高まっている。ブロックチェーン技術を活用した地域通貨を発行し、地方経済の活性化につなげようという試みが目立つようになってきている。(2面に関連記事)(取材・文/本多和幸)
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