既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(59)日銀と欧州中央銀行が共同調査結果を公表
2017/10/04 09:00
週刊BCN 2017年09月25日vol.1695掲載
日本銀行と欧州中央銀行は昨年12月、金融市場インフラへの分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology、DLT)の応用可能性を調査する共同プロジェクトを立ち上げると発表した。9月6日、その第一弾の報告書が公表された。(取材・文/本多和幸)
日本銀行決済機構局と欧州中央銀行市場インフラ決済総局は、共同調査プロジェクト「Project Stella」を立ち上げるにあたって、ブロックチェーンに代表されるDLTについて、金融資産や金融取引などのデータを記録するために活用することを念頭に、次のように言及している。「今後の技術面の発展や応用方法によっては、取引記録の自動化や事務処理手続の簡略化などを通じて効率性を向上させたり、非金融リスクに対する安全性や強靭性を向上させたりする可能性を秘めている」。
Project Stellaの第一段階としては、日本銀行と欧州中央銀行の現行の資金決済システムの主要機能を、DLTを活用して効率的かつ安全に再現できるかという観点で実証実験を行った。
流動性節約機能をDLT基盤上で再現
日本銀行は日銀ネット、欧州中央銀行はTARGET2という即時グロス決済(real-time gross settlement、RTGS)システムを運営している。RTGSとは、中央銀行が金融機関からの振替指図を1件ごと、文字通り即時に決済する方法だ。2000年代初頭まで、日本銀行は時点ネット決済(1日数回、多くの振替指図をまとめて決済し、決済時点ごとに各金融機関の受取総額と支払総額を算出して差額のみを振替する方法)とRTGSを併用していた。しかし、金融機関が破綻した場合に金融システム全体に及ぼす影響範囲はRTGSのほうが小さいため、01年1月に時点ネット決済を廃止。以降、日銀ネットの決済方法は、RTGSに統一された。
ただし、RTGSは取引ごとに決済を行うため、金融機関側は、時点ネット決済と比べて多額の決済資金を用意しておかなければならない。日銀ネット、TARGET2とも、その救済策として、「流動性節約機能」を備えている。これは、日銀ネットでいえば、各金融機関が日銀当座預金に決済のために準備しておくべき資金などの量を節約する機能だ。
本来、金融機関が日本銀行に支払指図を送信したときに、当座預金の資金が不足していると支払指図は拒絶・返戻されてしまう。流動性節約機能が実装されていると、資金不足であってもすぐに拒絶・返戻はせず、日銀ネット内に待機させておく「待ち行列機能」、新規、待機中を問わず複数の支払指図から同時に決済できる組み合わせをリアルタイムに探し出して決済する「複数指図同時決済機能」という二つの機能が働き、RTGSシステムの資金効率が向上する。
Project Stellaはまず、この流動性節約機能をDLT基盤上で再現したうえで、さまざまな実験を行った。
日本銀行と欧州中央銀行は昨年12月、金融市場インフラへの分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology、DLT)の応用可能性を調査する共同プロジェクトを立ち上げると発表した。9月6日、その第一弾の報告書が公表された。(取材・文/本多和幸)
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