視点
東京大学大学院 情報理工学系研究科教授 江崎 浩
2018/02/02 09:00
週刊BCN 2018年01月29日vol.1712掲載
アナログをデジタルに変換しただけの“なんちゃって”デジタルコンテンツは、ゲームや立体音響あるいは自由視点映像など、オブジェクト指向のデジタル・ネイティブなものに、急速に置き換えられつつある。これまでのデジタルコンテンツは、基本的にアナログデータを、シャノンの標本化定理に従って十分な速度と粒度で標本化し、情報の圧縮を行ったコンテンツであった。しかし、ハリウッドを中心にした劇場映画の制作においては、ゲーム業界で確立された3次元CAD/VR技術、さらにAR技術を利用したコンピュータグラフィックスが主体になっており、コンテンツの制作・流通・利用に関する大革命が進行中である。
このようなデジタル技術を核にしたビジネスイノベーションがデジタルトランスフォーメーションと呼ばれている。たとえば、広告業界や製造流通業界では、PUSH型(コンテンツ・製品・サービスの供給側が主導のクライアントサーバー型)から、ユーザーの需要をプロバイダ側が収集・集約し、ユーザーが望むものをオンデマンドに提供するPULL型に変化しつつある。
PUSH型のビジネス構造は、流通経路上に大きなバッファを必要とする。このバッファは具体的には、在庫であり、在庫を収容する倉庫になる。一方、PULL型のビジネス構造は、より小さなバッファでの運用が可能なため、流通経路に必要となる「物理的」な資源の量を削減することができる。ある倉庫の入札案件は、50億円分の在庫を収容する倉庫の調達であった。一般的なIoTを用いた提案は、倉庫の運用効率の向上となるであろう。ところが、デジタル化の力を実感し、さまざまな斬新的な取り組みを進めている建築設計事務所(プランテック社)は、上流の工場と下流の販売店と倉庫をオンライン化し、データを共有することで、倉庫の容量を約40%削減できると分析し、提案・入札を行い、採択となった。さらに、物理的なモノを運ばず、モノの設計図(デジタル情報)を可能な限り利用する。必要となる物理資源を削減することで、クリーンな流通システムへのイノベーションも可能となる。このような、これまで連携することのなかった事業者が水平方向に連携し、新しい価値やビジネス構造を構築するのが本当のIndustry4.0の姿であると考える。 アナログをデジタルに変換しただけの“なんちゃって”デジタルコンテンツは、ゲームや立体音響あるいは自由視点映像など、オブジェクト指向のデジタル・ネイティブなものに、急速に置き換えられつつある。これまでのデジタルコンテンツは、基本的にアナログデータを、シャノンの標本化定理に従って十分な速度と粒度で標本化し、情報の圧縮を行ったコンテンツであった。しかし、ハリウッドを中心にした劇場映画の制作においては、ゲーム業界で確立された3次元CAD/VR技術、さらにAR技術を利用したコンピュータグラフィックスが主体になっており、コンテンツの制作・流通・利用に関する大革命が進行中である。
このようなデジタル技術を核にしたビジネスイノベーションがデジタルトランスフォーメーションと呼ばれている。たとえば、広告業界や製造流通業界では、PUSH型(コンテンツ・製品・サービスの供給側が主導のクライアントサーバー型)から、ユーザーの需要をプロバイダ側が収集・集約し、ユーザーが望むものをオンデマンドに提供するPULL型に変化しつつある。
PUSH型のビジネス構造は、流通経路上に大きなバッファを必要とする。このバッファは具体的には、在庫であり、在庫を収容する倉庫になる。一方、PULL型のビジネス構造は、より小さなバッファでの運用が可能なため、流通経路に必要となる「物理的」な資源の量を削減することができる。ある倉庫の入札案件は、50億円分の在庫を収容する倉庫の調達であった。一般的なIoTを用いた提案は、倉庫の運用効率の向上となるであろう。ところが、デジタル化の力を実感し、さまざまな斬新的な取り組みを進めている建築設計事務所(プランテック社)は、上流の工場と下流の販売店と倉庫をオンライン化し、データを共有することで、倉庫の容量を約40%削減できると分析し、提案・入札を行い、採択となった。さらに、物理的なモノを運ばず、モノの設計図(デジタル情報)を可能な限り利用する。必要となる物理資源を削減することで、クリーンな流通システムへのイノベーションも可能となる。このような、これまで連携することのなかった事業者が水平方向に連携し、新しい価値やビジネス構造を構築するのが本当のIndustry4.0の姿であると考える。
アナログをデジタルに変換しただけの“なんちゃって”デジタルコンテンツは、ゲームや立体音響あるいは自由視点映像など、オブジェクト指向のデジタル・ネイティブなものに、急速に置き換えられつつある。これまでのデジタルコンテンツは、基本的にアナログデータを、シャノンの標本化定理に従って十分な速度と粒度で標本化し、情報の圧縮を行ったコンテンツであった。しかし、ハリウッドを中心にした劇場映画の制作においては、ゲーム業界で確立された3次元CAD/VR技術、さらにAR技術を利用したコンピュータグラフィックスが主体になっており、コンテンツの制作・流通・利用に関する大革命が進行中である。
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