IT業界注目のスタートアップを紹介する連載、第2期のスタートです。初回は、産業技術総合研究所(産総研)発のスタートアップで、音声処理技術の研究開発を行っているHmcomm。音声認識や自然言語処理、異音検知にかかわるソリューションを提供しています。
Company Data会社名 Hmcomm
設立 2012年7月24日
所在地 東京都港区(本社)
事業内容 産総研独自の音声処理技術を基盤とした要素技術の研究/開発、ソリューション/サービスの提供
URL:https://hmcom.co.jp/ どんな会社なの?産総研の音に関する知財やソフトウェアなどのアセットを使い社会実装を目指す「音のスペシャリスト集団」です。
Hmcommは産総研発のベンチャーとして2012年に設立。音とAIを組み合わせた、「音声認識/自然言語処理」と「異音検知」の大きく分けて二つの事業を展開しています。社内にはR&Dと技術開発・保守を手掛ける組織があり、社会実装に当たっては外部の事業会社と知見を共有して進めていくスタイルをとっています。
各事業別にみると、音声認識/自然言語処理では、AIコールセンターシステムの「VContact」を提供。顧客とオペレーターのやり取りを音声認識でテキスト化して回答候補を示したり、電話の終了後に内容を自動で要約してCRMなどのシステムに内容を入力したりと、オペレーターの業務を支援します。現在、10社ほどの企業で導入されているそうです。
また、異音検知では「FAST-D」という名称でソリューションを展開。警備や畜産、プラントなどさまざまな環境で人の代わりに異音を検知して、危険の察知や設備の故障予測など、異常事態への対応につなげます。異音検知はPoCの段階にあり、いくつかの事業会社とともに実導入に向けた取り組みを進めているようです。
声認識を手掛ける他社と比べて、何が強みなの?自社でソリューションを開発・提供していることです。
例えばコールセンターシステムでは、音声認識と自然言語処理のそれぞれでサードパーティーの製品を組み合わせて提供する企業と比較して、Hmcommは両方の技術を自社で提供していることを強みとしています。異音検知も含めて、開発にはオープンソースの技術も活用しますが、「一気通貫した自社製品」として提供することにこだわっています。
今後の方向性は?
三本幸司
代表取締役CEO異音検知では、グローバルに出ていくのが目先の目標です。
VContactは方言を含めて高い技術を提供していきます。一方、異音検知は「言語の壁」がないことから世界での展開を目指し、体制や進出先などについて検討を進めています。
よろしくHmcomm
代表取締役CEOの三本幸司さんは、かつて富士ソフトで取締役を務めていたことのある人物。これまで国内のSI業界を見てきた経験から、「若い人たちが起業家になること、高い技術を身に付けて日本企業にいることが重要」という考えを持ち、未経験を含めて若い世代の人たちを積極的に採用しているそうです。若い力で音声処理分野をリードしていこうとしています。Hmcommは「音×AI」でイッポ前へ!