多人数が共同編集できるオンラインホワイトボードとしてスタートしたコラボレーションツール「Miro」は、単なるブレインストーミングでの活用だけではなく、視覚的なプロジェクト管理や、製品開発までのワークフローの可視化、ダイヤグラムやプロセスマップの作成といった機能拡張を続け、イノベーションを加速するためのワークスペースとしての役割を担う。関屋剛・Head of Japan Salesは「コミュニケーションのサイロ化というと部門や組織的な問題だと思われているが、コミュニケーションツールがバラバラなことも原因だ。Miro上に『Excel』や『PowerPoint』、BIツールの情報を集約し、情報の関係を図示することで、メンバー間で情報を標準化できる」と説明する。
国内で120万超のユーザーに利用され、大手金融や製造、出版、建設など幅広い顧客を持つ。特にSIerや企業のIT部門への導入が進んでいるといい、SE向けのワークスペースや、アジャイル開発向けのプロジェクト管理のテンプレートなどが活用されている。関屋Head of Japan Salesはリモートワークやハイブリットワークにおいて、「ビデオ会議ツール、チャットと並び、Miroは間違いなく国内のナレッジワーカーの三種の神器になる」と意気込む。
リモート環境下で社員間のコミュニケーションに課題を抱える国内企業は多く、部門や上下関係を越えた有益な議論が難しくなっている。こうした課題に対し、Miroは単なるコミュニケーションツールとしてではなく、付箋やリアクションなどの機能によって、あらゆる人が意思表示しやすい環境を支え、イノベーションの創出を後押ししている。プロジェクトを管理する際、会議ごとに議論の参加者が全員で閲覧するメモを更新したり、議事録を作成したりするのが一般的だが、Miroを用いることで、議論の内容やプロセスをボード上に蓄積し、一覧的に確認できるようになるという。関屋Head of Japan Salesは「プロジェクトルームを永続的に占有しているようなもの。議論の流れに切れ目をつくることがない」とアピールする。
国内で大きな需要を期待
今後は活用事例の有効性を訴求し、シェア拡大を目指す。例えば、カスタマージャーニーを設計して複数部門間で共有し、意思決定の迅速化や商談など社内外とのコミュニケーションに利用することで共創の実現や顧客満足度を高めるといった活用例や、ノウハウやプロセスをMiro上に保存することで熟練者の退職によるナレッジの分断を防止するなど、多様な事例を訴える。また、関屋Head of Japan Salesは「業界・業種ごとの深い事例を蓄積し、顧客に有効であると示すことも重要だ」とした上で「興味を持った顧客に対しては、成果が出るまでナビゲーションし、徐々に利用範囲を拡大してもらう」と強調する。
パートナー経由での販売に力を入れており、直近では23年12月にNTTデータと販売代理店契約を締結した。パートナービジネスは「拡大するフェーズ」(関屋Head of Japan Sales)で、導入や顧客支援のための資料提供や国内外のベストプラクティスの共有などで支援する。関屋Head of Japan Salesは「単に製品を販売するだけではなく、導入支援などを通してMiroを使いこなすためのマネジメントも担えるパートナーと協業したい。そのためには、単にカタログに載せてもらうだけではなく、パートナー自身がMiroを使ってさまざまな効果を体感し、その体験を事例として顧客の支援につなげてほしい」と呼びかける。
日本市場について、関屋Head of Japan Salesは、「本社からの期待は苦しいほど大きい。一般論にはなるが日本のITの利用はまだまだ遅れており、今後も大きな需要が期待されている。日本は歴史的に新しいアイデアやプロダクトを生み出してきたと認識しており、支援できることは多い」とする。また、「顧客にはグローバル企業が多く、海外のチームとのコミュニケーションにMiroを使っている。海外拠点と国内で同じようなサポートが受けられるよう、グローバルとの連携は一層強化していく」と力を込める。