AIなどのテクノロジーが台頭し、ビジネスのスピードは日々増している。これらの技術をうまく活用するための重要な要素の一つがデータマネジメントだ。日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)は、研究会やカンファレンスの開催、政府や公的機関との連携を通じて、データマネジメントの普及に注力している。大西浩史・理事兼事務局長に取り組みを取材した。(大向琴音)
データ活用のための支援と教育を展開
――JDMCの概要について教えてください。
「データマネジメントの重要性の普及展開と実践的なデータマネジメント手法を確立し、日本企業・組織の国際競争力強化に寄与する」ことを目的に、2011年に設立しました。会員数は356社(26年2月13日現在)、このうち50社ほどがITベンダーで、ユーザー企業が多いのが特徴です。
JDMCは、AIという言葉がまだそれほど多く使われていなかった時期に立ち上げましたが、本質的な部分は昨今のAIの時分とそれほど変わっていません。当時も、ツールを入れればデータの活用が大きく進むと考えている経営者は多かったです。しかし大切なのは、現場の人たちのデータ活用スキルを上げることや、正しいデータをその社内に供給するための整備、あるいはこのような営みを組織的に実行するためのルールや体制づくりなどです。JDMCでは、データを活用するための支援や教育に取り組んでいます。
――どのような活動を行っていますか。
活動のメインの一つが研究会です。研究会では年度当初にテーマを募集し、年間を通じて各テーマの研究活動を進めています。現在、七つの研究会が活動しており、例えば「AI・データ活用のためのコンプライアンス研究会」や「生成系AIを活用したデータ活用・クレンジング」、「非財務(ESG)データのマネジメント」などがあります。
――イベントなども積極的に開催されています。
毎年3月にカンファレンスを開催しています。26年は3月11日に開催、基調公演やユーザー企業の事例講演、スポンサー講演、パネルディスカッションなど、40~50個ほどのセッションを用意しています。また、カンファレンスでは、研究成果の発表も行っています。
データマネジメントに積極的に取り組み、模範となる活動を実践している企業・組織・個人を表彰する制度として、「データマネジメント賞」を11年間運営し、カンファレンス内で表彰しています。デジタル人材を採用することが難しい昨今、特定のベンダーではなく、JDMCという客観的な視点で表彰を受けたという事実は、企業がデータ活用に取り組んでいる姿勢や、デジタル人材の活躍の場を設けていることを示す上での実績になります。企業側からは、「こういう機会が与えられるのはとてもうれしい」といった声も聞いています。
大西浩史・理事兼事務局長
器づくりから中身づくりへ
――長年活動を続ける中で、データマネジメントに関する意識に変化はありますか。
当初は、ツールや基盤を導入し、データマネジメントに取り組むのはこれからといった段階の話が少なくありませんでしたが、最近はデータマネジメントに実際に取り組んだ上で出てきた課題への言及などが多くなりました。だんだんと器づくりから中身づくりへと、歩を進めることができていると感じています。
――AIが台頭する中で、データマネジメントの必要性はより高まりそうです。
データマネジメントにしっかり取り組まなければAIは正しく駆動しません。これまでにビッグデータやDXという概念が流行した際、実際に実装し、きちんと成果を出せた企業は多くありません。AIを導入したら何かが改善するといった過大な期待を持っていては、同じような失敗が繰り返されることになってしまいます。
AIの活用が進む中、高める必要があるのがデータリテラシーです。これはいわゆるITパーソンだけじゃなくてビジネスパーソンにも、共通理解としてデータマネジメントの基礎知識は学んでもらう必要があるでしょう。
試験制度と連動
――今後の展望をお願いします。
27年度には「データマネジメント基礎試験」が開始される予定です。同試験の新設にあたり、JDMCは経済産業省と情報処理推進機構(IPA)と協力し、理事や有識者がワーキングに参加して示唆役を務めました。現状のIT関連の試験は、応用情報処理やITストラテジストなど、エンジニア向けの試験が大半ですが、データマネジメント基礎試験は非エンジニア向けの試験なのが特徴です。AI時代になったからこそ、試験制度などとも連動して、データマネジメントの重要性を訴えかけていかなければならないと考えています。
<紹介>
【日本データマネジメント・コンソーシアム】
2011年に設立。データマネジメントの重要性の普及展開と、実践的なデータマネジメント手法を確立し、日本企業・組織の国際競争力強化に寄与することを目的に活動。会員数は、正会員71社・準会員269社・特別会員16団体の合計356社(2026年2月13日現在)。