企業が成長していくうえで、生成AIの活用は避けて通れないテーマとなった。産学連携で生成AIの活用促進に取り組むGenerative AI Japan(GenAI)は、ユースケースを中心とした情報発信や、生成AI活用のためのルールづくりなどを通じて、生成AIのさらなる普及を目指している。業務執行理事の國吉啓介・事務局長に取り組みを聞いた。(岩田晃久)
五つの軸で活動
――どのような活動に取り組まれていますか。
「先端技術の共有と連携」「ビジネスユースケースの共有と実装支援」「Labを起点にした共創・協業」「教育・学び」「生成AI活用のルール作り・提言」の五つを軸に活動しています。
その中でもポイントとしているのが、ユースケースの発信です。生成AIの普及が進みつつある一方で、「AIが実際にはどのくらい業務で使えるのか」といった不安を持つユーザーが少なくない状況です。また、AI技術の進化のスピードはとても早く、さまざまな製品やサービスが生まれ続けています。しかし、ユーザー企業1社でその動向を把握するのは難しいです。我々が発信するユースケースが、AIを導入する際の判断材料として役に立てばと思っています。
GenAIでは、「Questivity (クエスティビティ)」というキーワードを大事にしています。これは、「多様な意見を把握し、自分の考えをつくりながら、対話・共創・実践を通し、問いをひらくことが、さらに重要になる見立て」というもので、AIでどのような価値を生み出せるのかを考えながら活動しています。
――どのような会員構成ですか。
ユーザー企業が中心で、大手クラウドベンダーなども会員です。組織を大きくすることはあまり重視しておらず、会員と会話や事例の共有を重ねることが大事だと思っています。会員もそういった気持ちを強く持っています。
――現在進行している具体的なプロジェクトには、どのようなものがありますか。
研究会として、「ユースケース・技術動向研究会」「セキュリティ・ガバナンス研究会」「生成AI実践研究会」を設けています。これらのテーマは関心が高いため、活性化していくことに力を入れています。
また、アワードの「生成AI大賞」を主催しています。2025年は12月に開催しましたが、業種や企業規模を問わず多様な組織が受賞しました。そのほかにもイベント開催・提言・連携活動などを通じて共創に取り組んでいます。
國吉啓介・業務執行理事
ルールづくりに取り組む
――AIの浸透具合をどう捉えていますか。
25年からAIエージェントを利用する企業が増えているなど、少し前までは実用化されていなかった技術が使われるようになり、社会実装の深さがすごく深くなっているように感じています。
――よりAI活用をより広めていくには、どういったことが必要になるのでしょうか。
幅広い方々にAIを使ってもらうことを考えた時に響くのは、自社と同じような規模や業種の会社がAIを使って成果を出しているという話だと思います。そのため、多様なユースケースを伝えていきたいですね。
――ルールづくりも重要になりますね。
セキュリティーやガバナンスのルールについては、まずは国によって法律などの整備が進んでいきますし、そこに合わせていち早く独自のガイドラインを出す業界団体などがあります。GenAIでは、そうした団体と連携してイベントで座談会をしたり、セキュリティ・ガバナンス研究会の中でディスカッションしたりするなどの活動をしています。
ガイドラインやルールが出た際に、それを社内用にどう落とし込んでいくのかとは難しい部分です。業種や規模、また役職などでも色合いが変わってきます。こうした面についてもGenAIで取り組んでいきたいですね。
――今後の展望をお願いします。
AIが物理空間に入ってくるようになるなど、AIはさらに進化していきます。その中で、さまざまな研究領域があるので、全体を俯瞰して見ながら、情報をうまくキャッチし、多くの人の見解を聞きながらブラッシュアップを行い、発信していきたいと思っています。
AIを悪用する事件が出てきており、それをどう防ぐのかを考えていく必要があります。大きなテーマですが、事例を基に対処の仕方や、今後発生すると思われるリスクへの対策などを考えていきます。
長年日本はデジタル化の遅れを指摘されてきましたが、AIは勝負できる部分だと感じています。GenAIでの取り組みを通じて、日本全体の産業競争力を高めていきたいです。
<紹介>
【Generative AI Japan】
2024年1月設立。生成AIの普及に向けて、情報発信やルール作り、人材育成、イベント開催などに取り組む。