――2022年は、マイクロソフトの「Dynamics 365」を軸に基幹業務システム(ERP)の領域へ本格進出する年になる。どのような販売戦略なのか。
これまでも販売管理、財務会計、人事給与などの業務ソフトパッケージを中心に、中堅・中小企業ユーザーに販売してきた。ただ、いずれも定型データを扱う部門システムの性格が強く、非定型のデータを扱い、分析して、新しい気づきを得られるような“価値創出型”の全社横断システムの領域は手つかずだった。Dynamics 365はバックオフィス以外も幅広い業務を網羅するビジネスアプリケーションスイートであり、中堅・中小企業ユーザーの業務で日々発生するデータを定型、非定型を問わず一気通貫で分析・活用できる基盤を備えている。データを起点とした経営革新に貢献できるビジネスに育てる。
代表取締役社長CEO
真茅久則
――中堅・中小企業ユーザーに焦点を当てるのはなぜか。
データ起点の経営を実践するには、ある程度の規模の個別SIが必要であることが多く、従業員数100~300人規模の企業ではハードルが高かった。全国に営業拠点を展開する販売子会社の富士フイルムビジネスイノベーションジャパンが有する地域企業との接点力と、Dynamics 365を組み合わせることで、中堅・中小企業ユーザーの役に立てると判断した。
Dynamicsの自社導入で人材を磨く
――富士フイルムビジネスイノベーション自身もDynamics 365を導入することを決めている。
ユーザー企業に自信を持ってお薦めするには、まずは自社で導入し、実際に使ってみるのが一番の近道だからだ。22年はSE業務管理、23年からは販売、物流、会計、営業支援を順次稼働させる。当社グループの従業員数は約3万7000人だが、これだけの規模での導入は国内で最大規模であるし、世界的に見ても大規模であるのは間違いない。
――技術者の手当てや育成はどうするのか。
自社導入によって技術や知見を身につけるとともに、旧HOYAデジタルソリューションズに当社グループに加わってもらった。同社は従業員数200人程度の中堅SIerだが、長年にわたってDynamics 365の外販を手がけてきた実績を持つ。22年1月から富士フイルムデジタルソリューションズと社名を変更して、引き続きDynamics 365ビジネスを担ってもらう。
――複合機との連携はどうか。
当社は文書管理の「DocuWorks」をはじめ複合機と連動するソフト・サービスを多数手がけており、これに中小企業向けITアウトソーシング「IT Expert Service」なども組み合わせてDynamics 365ビジネスとの相乗効果を発揮していく。