旅の蜃気楼

<e-Silkroad編 アジアのIT利用技術立国を目指せ>その8 元気な上海

2002/02/25 19:47

元気な上海

▼ギリさんの日本IT技術者への期待は痛烈だ。その前に、2月15日に出向いた2泊3日の上海短期旅行の印象を手短に記す。JALPACツアーの料金は感激の安さだった。それに加え食事、移動の交通費、お土産など、すべてで10万円也だ。札幌1泊2日と比較したら、これほどお得な旅はありません。もちろん上海の行動予定はフリーだから、仕事、観光など自分の好みのまま。上海観光局の手先のような記事になってしまった。もちろん自費です。浦東空港に降り立ったのは、昨年11月25日以来。大きくて広々とした綺麗な空港だ。タクシーで一般道を走り1時間弱で市街地に着く。道路の右側にはほぼ平行して、リニアモーターカーの梁が一直線に並ぶ。その上を高速車両が走ると、20分足らずで街に到着する計画だ。近い。

▼その周囲には広大な土地がある。整地も進んでいる。上海は香港の役割を継承してアジアの一大金融センターを目指している。今でも十分に驚く数のビル群が市街にある。さらに、この先5年の変化は想像を絶するだろう。2010年には「世界博覧会」を主催する。目標がある。新しい街づくりで、しっかりしたITインフラが整備されるはずだ。上海の周辺都市にはITの生産工場群ができつつある。明日の上海は希望に満ちている。街中の古い住居を壊し、整地して、高層ビルを建てる。人に勢いがある。元気をもらって日本に帰ってきた。が、ブッシュ大統領の歓迎レセプションを巡り、「招待状を出した」、「もらってない」の騒動を聞いていて、この国は子供の集団なのかと、笑えてしまった。「子供たちよ。すべての大人に対して希望を捨てないでほしい」。上海、ソウル、バンガロールのアジア各都市ではITをけん引役とした都市づくりが進行している。e-Silkroad構想はこうした都市のIT技術と文化交流を目指したアジア・ビジョンである。

▼話をインドに戻そう。エヌ・ディ・アールは大阪に本社を置く、84年設立のソフト開発会社。社長・永原隆嗣さんのインドとの関わりは、JAIDO(日本国際協力機構)の関係で始まり10年以上に及ぶ。ギリさんを迎え入れたのは93年だ。日本語の基礎をインドで学んだギリさんは来日して5年間、永原さんの会社でIT技術と商習慣を覚え、日本人の家にホームステイして日本文化と関西弁を学んだ。帰国と同時にギリさんは結婚。ホームステイ先の”日本のおかあさん”をバンガロールに招くほどの親しさだ。ギリさんの自宅で、結婚式のビデオとアルバムを見た。3日に及ぶ超豪華な式と披露宴だ。そして永原さんの支援を得て、日印ソフトウェアを創業した。日本語はギリさんの会社で教育する。日本語を習得した人を日本企業に派遣する。現在、54人の日本企業向けソフト開発会社だ。(上海発・主幹奥田喜久男)
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